第29話 驚愕! 驚嘆!(3)

 車の鍵を回してエンジンをかけ──。


 自身の身体を冷やし、衰弱している彼女の身体を温めてあげようと車のセルを! エンジンを回し!


 車のヒーターのスイッチを入れ暖機運転……。


 でも皆さんも御承知の通りでね。


 この寒い時期にエンジンをかけ、暖機運転をしても。


 車内は中々温まらないから。


 車内のエアコンの吹き出し口から冷気──!


 大変に冷たい風しかでないから。


 僕自も(困ったなぁ~。どうしよう?)と思う。


 だから僕は(う~ん、さてさて、どうするかな?)と考える人になり、呻ると。


 直ぐにポンだ!


 僕は自身の手を叩きながら、あることを思い出す。


 そう、先程彼女のために購入した温かいココアを。


 彼女の少し開いている唇へと缶を当て、注ぎ込んでみた。


「…………」


(う~ん、ダメだな……。この女性ひと……。ココアを飲んでくれない……)


 そう僕は、様式の姫武将さまの口へと、温かいココアを注ぎ込んでみたのだが。


 彼女は全く受け付けてくれない。


 と、言うか?


 先ほどまで、『うぅ、ううう』と呻っていたはずの彼女口から。


 呻き声が止まってしまっている。


 だから僕は、(これは、不味いな?)と思いつつも。


 彼女の口へと更にココアを注いでみた。


 いくら彼女の口の回りと喉元が濡れようがお構いなしに。


 彼女の喉を少しでもココア──。


 水分が通りますようにと。


 僕は神さま、仏さまと祈りつつ。


 金髪の麗しい姫武将さまの口元へとココアを注ぎ続けた。



 ◇◇◇


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