第2話 前置きは人の優しさ(2)

 もう辺りは真っ暗な訳でね。


 そう、この辺りは漆黒の闇──空間に覆われた世界と化している。


 だから、この農協の所長さんは僕に対して帰宅の途。


 帰り道には気をつけるようにと、労いの言葉を掛けてくれた。


 だってこの農協の正面、前を。


 大きな二車線の道が通ってはいるのだが。


 何せこの辺りは、街灯が少なく真っ暗闇……。


 漆黒の闇に覆われた道路の上に山道だから。


 道路が蛇、ヤマタノオロチみたいに、クネクネとしたカーブ道でね。


 大変に見通しも悪い。


 だから農協の購買部の店長さんが僕に気遣いしてくれて。


『お兄さん。夜だから気をつけてお帰り』と。


 彼は労いの台詞をくれた。


 だから僕は本当に僕はありがたいと、心から思う。



◇◇◇


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