第四回 黒いきつね

【登場人物】

藤原ふじはら 真之なおゆき(23歳)……藤之宮神社神職

            (ごん禰宜ねぎ)。藤原

            家五男。

藤原ふじはら 仁之さねゆき(26歳)……同。藤原家三男。

藤原ふじはら 慶之やすゆき(83歳)……藤之宮神社宮司。

            真之、仁之の祖父。

            ほぼ三頭身。


おか   (85歳)……藤之宮神社用務員。

            作務衣さむえ(白)を着

            ている。


 「第四回 黒いきつね」は、公開中の作品

弥栄いやさか!』の登場人物と設定で制作しました。


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➀ 藤之宮神社・境内

   初夏。拝殿下手側に立派な藤の木。満

   開。拝殿前に岡野。手に竹箒。(慶之

   達に)気づいて、その手を止める。と、


② 同・社務所の前

   ──真横からの視点で。

岡野「おかえりなさいませ」

   社務所入口に慶之やすゆき真之なおゆき。共に、神職

   姿に黒羽織。真之、両手に風呂敷包み

   (出張さいの神具)。慶之の羽織のみ、

   藤之宮神社のしんもんが入っている。二人、

   岡野に礼をして、

慶之やすゆき「(にこにこして)ただいま戻りました」


③ 同・座敷A

   開いている襖。見えている廊下に仁之さねゆき

仁之さねゆき「出張さい、お疲れさん」

   と、出張祭祀の荷物を運んでいく。

   座敷Aに真之。羽織の紐をほどき乍ら、

真之なおゆき「(ぐったりと)おなか空いた~」


④ 同・台所

   真之、入って来て、

真之「今日は、おうどんにしよー」

真之の声「おじいちゃんはー?」

   と、『赤いきつね』をテーブルに置く。

慶之の声「ワシもうどんにしようかの」

   テーブルに真之と慶之。L字に座って

   いる。テーブル上、二人の前に『赤い

   きつね』。二人、合掌して、

二人「いただきま~す」

   真之、手にひょうたん型の七味入れ。栓を抜

   く。と、

   七味入れを傾けている真之、あげの上

   にどっと七味(黒七味)がかかって、

真之「わッ!」

   『赤いきつね』のあげの上、山になっ

   ている黒七味。

真之の声「く……」

──────────────────────

   ──真横からの視点で。

真之「黒いきつね」

慶之「かけ過ぎじゃ。愚か者!」

   と、後ろから真之の肩をきょうさくで打つ。

   バシッといい音。


⑤ 商品紹介

   美味しそうに湯気の立っているカッ

   プ麺(うどん)に、ふっくら甘辛炊

   きの大きなあげが乗って、

真之のN「関西だしに大ーきなおあげ!」

慶之のN「コシのあるうどんが自慢の!」

   と、逆再生の様に、カップに蓋が戻る。

   蓋に『赤いきつね』。

二人のN「マルちゃん『赤いきつね』!」

   と、蓋の上にドドーンとはらりょうかくの『黒

   七味』(小袋)が乗って、

真之のN「今だけ! 京都・おんはらりょうかく

 『黒七味』つき!」

   SE『ドドンッ!』と軽快な太鼓の音。


⑥ マルちゃんマーク

慶之のN「(明るく)マルちゃんじゃ!」


         第四回『黒いきつね』終

──────────────────────


注:京都・祇園、原了郭の『黒七味』につい

  ては、コチラ!(↓)

  http://hararyoukaku.co.jp/


               佐久良 燎

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