夏のはじまり

夏祭りの練習だろうか

遠くで太鼓の音がしている


梅雨入り前、ジメジメした暑さが

じわりじわりと忍び寄ってきて

こもった芯熱が息を苦しくさせる


夏のはじまりのワクワクを

感じていたのは

もう、ずいぶん昔のこと


あの海も花火も朝顔の浴衣も

ガラスのラムネ瓶も遠くなった

全部全部ぜんぶ、もう失くした


いつのまにか

太鼓の音は止んでいて


夏が、はじまる

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