春雷

夜空を

斜めに切り裂く稲光のすぐあと

ゴロゴロバリバリと

空気を震わすような音とともに

パラパラと屋根を打つ

激しい雨音がしはじめて


本を読んでいたわたしは

思わず身を強ばらせる

窓辺に行って

外をそっと覗き見る


まるで自然の剥き出しの感情を

ぶつけられているようだ

怒りと叫びと哀しみと

ああ、いているのか



夜空を

斜めに切り裂く稲光のすぐあと

ゴロゴロバリバリ……ドーン

ズンと地面に響くような音とともに

どこかに落ちたのだろうか

雨音はいっそう激しくなる


目を閉じる

ドクンドクンと

早くなる鼓動を落ち着かせるために

ゆっくりと息を吐く


まるで自然の剥き出しの感情を

ぶつけられているようだ

怒りと叫びと哀しみと

ああ、いているのか



わたしの動悸はなかなかおさまらない


空は嘆き続けている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る