寒の戻り

少し汗ばむほどの日々が続いて

桜の小さな蕾を見つけた頃の

寒の戻りに

仕舞っていたカーディガンを

引っ張り出してきて羽織った


昨日から降ったり止んだりを

繰り返していた雨が

肌寒さを余計に感じさせて

わたしはカーディガンの前ボタンを

ひとつ、ふたつと留める


やりきれない出来事ばかりが並ぶ

土曜日の朝のニュース欄

天災の残酷と

人災の傲慢

そして、あまりに無力な自分


雨はまだ降っている

空は昏く煙っている


それでも


季節は巡り

かたい蕾もほころんで

花は開くだろう


降りやまぬ冷たい雨のなかを

歩き続けていても

いつか雨はあがる


そう祈るように思いながら

こうして空を見つめている


寒の戻りの日

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