耐冬花

ぽってりとしたあかい花びらが

北風に耐えるように咲いている


花びらを散らすのではなくて

落花するそのさま

潔いとも縁起でもないとも

人は勝手にいうけれど


耐えに耐えたあと

それはまるで地面に身を投げるがごと

そっと拾い上げたてのひら

まだ深紅の色も鮮やかな、花ひとつ


無惨というか、この花を

哀れというか、この花を

冬の日々を咲ききった花の

その心を知りもせずに



◇◇◇


和名:椿(つばき)

別名:耐冬花 (たいとうか)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る