のほほん

炬燵に入って、のほほん

両手で湯呑みを包み込んで

ゆっくりゆっくり、お茶を飲む

お茶請けのスルメ

ちょっとずつかじりながら

もう何度目かの乱歩作品を読む

筋は知っているけど

物語世界の不思議な薄闇の中を

また歩きたくて


炬燵こたつに入って、いつの間にかうたた寝

妖しい美女になっている夢の中

名探偵を惑わせる


「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」

      ー 江戸川乱歩 ー


目を覚まして、冷めたお茶をひと口

しばし、夢の残滓ざんし揺蕩たゆた


のほほん、のほほんとしながら

こうして夜がけてゆく

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