第198話 健太の予想外の行動(2)

「アイカー! アイカが何故! 何故そこにいるのだ、ぁあああっ⁉」と。


 彼女の耳に大変に懐かしい声音……。



 そう、彼女が! アイカが! 


 一番聞きたい、呼んで欲しい声色。


 彼女が心から愛する彼、夫の叫び!


 何故、アイカ自身が、こんな場所。


 ウォンが逃げる! 逃走を計る!


 遙か彼方を逃げる! 逃走をしている訳ではなく、自分自身……。



 未だ健太の後方を辺りに、何故君は、アイカは、いるのかとでも言いたい声色で、自分自身の背、後方から。


 アイカの持つ、大きな笹耳へと聞こえてきたのだ。


 だからアイカは、冒頭で説明をした通りだ。


 自分自身の予期せぬ出来事!


 想像も出来なかった事!


 自身の主さまが、妻の為ならば、ここまでムキになり身体を張る。


 命懸けで張れる事の出来る勇敢な漢! オスだとは知らない、知らなかったのだ。


 そう、アイカは、人種である夫健太の事を、彼女は何処か、軽んじて見ているところ以前からあったのだ。


 ウォンと一緒でね。


 まあ、そんなアイカだから、自分自身の予想外の場所から聞こえてきた健太の声を聞き、振り返りながら。


「えっ!」


 と、驚嘆を漏らしてしまうだけではい。


 アイカ自身が大変な過ち、失態を犯した事に気がつくから。


 アイカは自身の顔色を変え、夫の名を叫んでしまうのだった。



 ◇◇◇

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