第186話 アイカの策とは? (1)

「走れぇえええっ! 走れ! もっと早く。早く走ってくれお願いだ。頼む。頼むよ……。お願いだから……」と。


 珍しく、弱音を吐く。漏らすウォンなのだが。


 彼の後方を見ればわかる。理解ができる通りだ。


 健太! 二国の皇帝閣下である健太率いる。装甲怪鳥隊が。


 二国の裏切り者、反逆者であるウォンの、みしるし首を上げようと、血気盛んに追いかけ。追いつきそうな雰囲気。勢いで。


 ウォンの背、後方から迫りくるから。


 オーク種族の最強の漢が珍しく弱音を吐いている。


 しかしだ。いくらウォンが弱音を吐こうが、二国の皇帝陛下である健太を筆頭に、ウォンを許す。逃がす気は毛頭もない。


 絶対にウォンの首! みしるし首を上げる気が。決意があるので。


 ウォンの背を懸命に追いかけるのだ。


「ウォンー! 待てぇえええっ! 逃げるなぁあああっ!」と。


 健太は、声を大にして叫びながら彼の背を追う。


 しかしだ。ウォン自身も安易に自分自身の首──。


 みしるし首をやる。与えるつもりはないから。


「あいつら、馬鹿か……。待てと言われて、待つアホが何処の世界にいるのだ……。ああ、もしかして? あのクソガキの産まれ故郷にはいるのかも知れんな? 素直に止まる。停車をする馬鹿が……」

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