第184話 逃走をするウォン!(1)

「待てぇえええっ! 逃げるなぁあああっ! ウォンー!」


「チッ、クソが! クソガキが……。敵に待て、逃げるなと言われて。待つ馬鹿が何処の世界にいるのだ」と


 自分自身に憤怒した様子。


 怒りをあらわにした表情。鬼、魔王の如き顔、容姿で。


逃走を図るウォンを追いかけ、追走する健太に対して、ウォンは振り返り。


舌打ちしながら独り言。


不満を漏らす。


 でも、健太は、そんなウォンの気持ちとは裏腹に。


自身の宿敵、最大のライバルであるウォンの御首(みしるし)を上げる。


盗る為に、彼の後方──。


背を、ひたすら健太は懸命に追いかける様子が見える。


窺がえるのだが。


 う~ん、実はね。先程の終わりの場面、回想シーンではないが。


 ウォン、彼自身が考えていた。


考慮していたよりも。


健太の槍裁き、切れが良い事。為に。


 ウォンは苦戦を余儀なくされる、だけならば良いのだが。


 ウォンと健太の槍と戟との激しい争い。


攻防戦の最中に。


ウォン持つ大きな笹耳に、健太の妃の一人であるインプ、間者の長。


 そして軍師でもあるミライの自身の主、夫を呼び、叫び、探索をする声が、健太よりもいち早く聞こえたウォンは、少しばかりある事を思案すると。


 この場に長居は無用──。


 すぐさま反転──。


 そのまま逃走を計り。


 二国の男王健太から、ウォンが逃げているのが得策──

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