第144話 主、王の前にて……(9)

 二国の影の支配者だと言って良いほど、今迄男王である健太よりも表舞台。前面、表へと出て、国の政治、政策をおこなってきた太后殿下であるシルフィーを持ってしても。王の逆鱗に触れ、憤怒、憤慨させるとこのようにとめる。制御する。諫め。彼の心を落ち着かせ、安らぎへと返し。いつもの健太にすることは安易ではないみたいだよ。


 今のシルフィーと女王アイカの様子を見る限りでは。だからこの場にいる二国の王。皇帝陛下の妃達は皆、健太と女王アイカ、シルフィー達三人がいる場所へと集まり。平伏を始めだす。


「御方~。長を。長を御救いください。この度だけでは何卒。何卒宜しくお願いします」と。


 健太の武の要、左翼であるエリエ姫が、実の姉であるアイカの命乞い。嘆願を始めれば。


「パパ~。お願い。アイカ姉を~。アイカ姉のことを~。この度は許してあげて~。お願い。お願いだから~」と。

 ダークエルフと、言うよりも? エルフと日本人のハーフであるサラが、健太へと嘆願、義理の母……。



 そう、この世界のシルフィーのことを許してやってくれと、嘆願を始めだす。また始めれば、実の妹に続くように。


「健太さん。お願いします。わらわに免じてここは何卒。アイカお姉さまを~。お姉さまのことを許してください~。健太さん。……あなた~。お願いします~。何卒。何卒~」と。


 二国の舞姫であり。母と父譲りの美しさは、天上界の女神達をも凌駕すると褒め称えられているプラウム嬢が、実の妹に続いて、己の主である。幼い父へと嘆願をし始めるのだよ。女王アイカのことを許して欲しいとね。となれば? 女王シルフィー女王アイカの一族に女達皆は、揃って各自各々の主、夫である健太へと嘆願を始めだす。

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