第95話 アイカと年下な男の子(11)

 此の国の女王である。ある自分だから。いつまでも他国だったジャポネの風下、女王シルフィーの足元に平伏したままの状態に甘んずることはしたくはない。ないのだ。女王アイカはね。


 まあ、敗戦国、敗戦者の女王であるのだが、アイカ自身にも少なからず野心。野心はあるのだ。


 彼女の最大のライバルであるシルフィーに女王としての立場も負けたくない。ないのだと。


 自身の物……。




 そう、女王アイカの新たな主……。




 可愛いオープンハートの銀の色に輝くネックレスを『アイカさん、愛している。愛しているよ……』と、呟き、囁きながら。プレゼントをしてくれた可愛い彼──。女王アイカの可愛い白馬の王子さまを独占、己の物、所有物にしたいといった想い。執着心が彼女の心の中に募りつつあるのだよ。複雑な心理、女心と言う奴……。他人が聞けば気が多いい。気が多い破廉恥極まりない女性だと思われるかもしれないが。


 女王アイカは、以前の彼、主、夫だったかも知れない。此の国の男王になれなかった男──。


 男であるウォンのことも気にならない。気にならないことはないのだ。

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