第8話 僕の嫁はオークの酋長!(1)
「(う~ん、ここは何処だろう? 僕が初めて見る光景──場所だと思う)」と。
少年は腕を組み、己の心の中で呟く。
そう呟くのだよ。カッコ良く、では無く。カッコ悪くねぇって、なっているのだよ。少年の容姿や姿が。だってさ、彼は、己の腕を組み、凛とした様子でいるのは上半身……。
胸、腕を組んでいる上からでね。残りの下半身の方は、相変わらず少年の妃だと申してきた緑の肌を持つ女性……。
そう、この辺りのオーク種族の集落を束ねる此の国の女王であるアイカさまから、妃らしい振る舞いで優しくハグと抱擁を受け尽くされている最中なのだが。
彼?
まあ、此の国の女王アイカさまの少女のような少年王なのだが。自身のお妃さまから受ける優しさ一杯の愛情と抱擁には無関心、全くと言ってよい程、無反応な状態で己──。彼が今置かれて立場と様子、場所に関して、思案を続けているのだが。
彼は異世界ファンタジー慣れしている日本の少年だから。召喚、中世的な殺伐とした世界は理解できる。
と、言いたいところなのだが。
此の国の女王アイカさまに、赤子の如く、優しく抱っこされている少年が、己の頭を軽く動かし、視線を変えながら神殿の窓から見える外の光景を凝視──確認すれば、熱帯雨林のシダ系の植物ではないか? と、思われる木々やバナナ? パパイヤ? マンゴー? らしき果物達が生っているのも確認とれるので。ここが中世的な世界なのか? 近代的、古代的なのかは? 少年自体もよくわからないので「う~ん」と、声を漏らして思案を続行──。
そして自身の妻だと申してきた女王アイカさまは、日本人の思春期の少年ならば誰でもではないが、半分以上は必ずわかり理解ができる種族の一つであるオーク種族であり。彼が知る女性はエルフ種族の女性なので、尚更彼は困惑、動揺をすることはない。
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