変化 2

「なんだか最近、三毛ちゃんが生き生きして見えるんだけど、気のせいか?」


と、さっきから隣でレモンティーを飲んでいた常連の『きんさん』コト『本木金治もとききんじさん』が、サンドイッチをモグモグしながら言った。


「そうですか?」


「ああ、なんだか色んな事が吹っ切れた様な、清々しい感じだ」


「ホントですか……?」


金さんに言われて顔をキッチンに向けると、バチッ!と不意に生田さんと目が合う。その瞬間、生田さんが少し顎を上げて、フフンッ!と笑った。そしてまた三毛さんにくっ付いて猫なで声を出し始めた。


(なっ……!?)


い、今、私を見て笑った!?


(なんじゃ今のはっ!?)


今までの人生でそんな事された事がないから、唖然としてしまった。


突然、横からポンッと肩を叩かれた。ポカン…と口を開けたまま横を振り向くと、「頑張れよ!」と今度は付け合わせのサラダをモシャモシャ食べながら、金さんが親指を立てていた。


(何をよ……)


なんだか色んな事がモヤモヤと胸に留まってしまって、私は癒しを求めて立ち上がる。


「アール~~!」


カウンターの隅、陽当たりの良い場所に鎮座している猫用ベッドで寝ているアールの側に寄った。


名前を呼ばれて珍しくアールが頭を持ち上げる。体を撫でると、太陽の陽射しを浴びてポカポカと温かい。目の前に座り、アールのお腹に顔を埋めた。喉をゴロゴロ鳴らしているのが、振動で分かる。


「……アール、あったかいね」


このままアールと一緒に寝てしまおうか。


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