家の倉庫が転移装置になったので、女神と四大精霊に農業を仕込んで異世界に大農場を作ろうと思う ~史上最強の農家はメンタルも最強。魔王なんか知らん~
第352話 【ミアリスエンド・前編】5分後のコルティオール
第352話 【ミアリスエンド・前編】5分後のコルティオール
全知全能、最近寒暖差がひど過ぎて家を出る時に何着たら良いのか分からなくなりがちな偉大なる大魔王ベザルオール様よりお言葉がございます。
「くっくっく。この世界線で多く分岐していたルートも最後となる。ここは何やら本編と繋がっているように思えるかもしれぬ。そんな風に感じる卿、ものっすごい読み込んでくれるやん。マンモスうれぴー。だが、分岐したルートの1つとお考えいただきたい。分岐地点以降の世界線は、あくまでも可能性のある未来の1つ。卿らが好きなヤツを拾って、この終わり方ええやん。と思ったものがこの世界の終焉なのである。なら前後編にした意味はと申すか? くっくっく。余、勘の良い卿は嫌いだな。真実はいつもだいたい1つか2つか3つか4つかもっとたくさん。くっくっく」
ありがとうございました。
では、最後の世界線をお楽しみください。
◆◇◆◇◆◇◆◇
創造の女神ミアリス様が「わたし、もう女神の世襲制ぶち壊してくるわ!!」と、翼を羽ばたかせて女神の泉に飛んで行った。
そして、20秒くらいで囚われの身になった。
朝ごはんを食べる前に、ミアリス様の救出へ向かった春日黒助。
「お前、朝飯前って絶対どっかで言うやろ」といわれなき後ろ指をさされながら、黒助は空を駆けた。
女神の泉の場所を黒助が知っていたのは幸運だった。
コルティオールに来た直後にその存在を聞かされた彼は「ほう。1度訪ねておくか。なんか御利益があるかもしれん」と賞味期限の切れたまんじゅうをお供え物にして、参拝していたのである。
まんじゅうが傷んでいたのも女神の泉の逆鱗に触れた可能性がある。
「む。あれか」
女神の泉から伸びる無数の水の管が、ミアリス様の体に絡みついていた。
「く、黒助ぇー!! ごめん、わたし勝手に……!!」
「いや。気にするな。だが、少し待ってくれ。確認したい事がある」
「え゛っ!? 黒助!? あの、今ね、わたし女神の魔力を全身からエナジードレインされててね? ちょっぴり急いでくれないと、存在消えるかもなって感じなんだけど?」
黒助はスマホを取り出して、ミアリス様をパシャり。
速やかにライングループで共有する。
賢者たちの反応は早い。
『くっくっく。なんか触手プレイキタコレ。すぐ行くわ』
『これ! 新刊のネタになりますね! ニートに転移魔法使わせて私も行きます! ベザルオールさん、一旦そっち寄りましょうか?』
『くっくっく。柚ちゃん優しいんだよなァ。よろしく頼む』
『え、なに!? 触手プレイ見れんの!? マジ!? 今までありそうでなかった触手プレイ!? ちょ、おい! 大魔王! 私も! 私の家にも寄ってって!!』
何となく話が纏まったようなので、黒助は「そうか」と喋る自分のスタンプを送信してミアリスの方へ向き直った。
「ミアリス。聞くが。あと3分くらい耐えられそうか?」
「黒助! 聞くけどさ!! ここに来て、なんでわたしを晒し者にするのよ!? ねぇ!? わたしのルートでしょ、ここ!! あ゛っ! だからあんた! 前後編に!?」
ミアリス様、敏い乙女は時として嫌われますぞ。
幸いなのは、ミアリス様が痴女痴女しい服装から清楚系に変身していた事である。
スキニージーンズにサマーニット。
割とエロくない。
おっぱい盛り上がるくらいである。
黒助の背後に魔力が沸き上がると、賢者たちが転移して来た。
「うおっ! ミアリスさん! マジで触手に掴まっとる!! いいなぁ。やっぱおっぱいでけぇと映えるなだよなぁ。私が捕まるなら、とりあえず服溶かされるもんなぁ」
「ニート! 撮影!! 急いでください! 静止画と動画、あと集音マイクも!! こんな機会もうないですからね!!」
「ミアリス様、すみませんね。うちの柚ちゃん、言い出すと聞かなくて。未美香ちゃん置いてきただけファインプレーって事で、ここはひとつお願いしまーす」
「くっくっく。ミアリスよ。……特にコメントはなかったが、余も尺がある限り喋っておきたいと思ってな。うる星やつら見た? オープニングにもエンディングにもテンちゃんと竜之介くんがおらんの、どう思う? 2クール目の追加キャストなんかな? テンちゃん確か放火する回とかあったし、竜之介くんは今のご時世キャラ的にキツいんかな? そういえば、面堂くんも日本刀持ってないもんね?」
ベザルオール様。
ありがとうございました。
「あんたたち……。最後の最後でやってくれるじゃない。ぐぬぬ。とりあえず仕返しできる相手は……。リュック! あんた、わたしが消えたらその育つおっぱいも消えるからね!! あと、元のおっぱいは捨てたから!」
リュックたんがプルプルと震え始めた。
「黒助さん! 私、援護するっす!! ミアリスさんを助けましょう!!」
「リュック……。お前は本当に心が清らかだな……!!」
「あ゛あ゛あ゛! わたしの旦那になる男が! 目の前で緑髪の美少女に騙されてるんですけどぉ!? その子、おっぱいにしか興味ないからね!?」
「くっくっく。よくそれだけリアクション取れるな、そなた。ものっすごい魔力吸われとるのに。あと2分くらいで消えるで?」
黒助は軍手を両手にキッチリとはめて、助走をつけてから女神の泉に向かって走る。
「おらぁぁぁ!! 『
黒助ここぞの新技が、触手数本に薙ぎ払われる。
このタイミングで苦戦するのはヤメて欲しい。
「あ。分かったわ、わたし。それ、わたしが創造で産み出したからだ。女神の泉ってわたしたち女神の根源だから、海にお清めの塩撒いてるようなものなのよ。……あれ。わたし、消えるの?」
ミアリス様が消えそうです。
◆◇◆◇◆◇◆◇
黒助は少しだけ考えると、ベザルオール様の方を向いた。
思えばこの2人の付き合いも長い。
最強の肉体と最強の魔力の共演も何回かやっている。
「じいさん」
「くっくっく。かしこまり。クイックルワイパー持って来といて良かった件。ぬぅぅぅぅぅぅぅん!!」
クイックルワイパーから光線状の刃が伸びる。
イメージが湧かない方は「光魔の杖」で検索頂きたい。
ダイの大冒険、丁寧に最後までやってくれて最高でしたね。
ビームクイックルワイパーを受け取った黒助。
2度ほどブンブン振ってみるが、軍手はエネルギーを掴むので問題なく扱える様子。
「柚ちゃん! どっち撮る?」
「もうミアリスさんのおっぱいはいいです! 取れ高オッケーなので、兄さんに全ツッパで!! あと、どさくさに紛れて気安く柚ちゃんって呼ばないでもらえます? クソニート!!」
黒助がクイックルワイパーを振りかぶり、再び地面を蹴った。
既にミアリス様はリアクションが取れないほど衰弱している。
多分だが、ベザルオール様の件がなかったらもう少し元気だったと思われる。
「おらぁあぁぁぁぁ!! 『
数秒の静寂ののち、女神の泉に亀裂が走る。
そこかしこから光が漏れ出し、どうやらそれが女神の魔力であると全員が理解した。
「やべぇ。これ、ミアリスさんの次の代の女神分の魔力? おい、大魔王。解説!」
「くっくっく。恐らく、次次次代くらいまでの分はあると見た。前前前世みたいに言ったんやけど、伝わった?」
「うっせぇ! ……あれ? 女神の魔力って事は? これ私が吸収したらおっぱいでかくなるんじゃねぇの!?」
「くっくっく。ヤメなはれ、リュックたん。変なもの吸収しちゃいけません」
そんな中、解放されたミアリス様だが様子がおかしい。
黒助が確認を取る。
「おい。じいさん。聞くが。ミアリス、息してないんだが。これ、死んでないか?」
「くっくっく。せやな。顔色が白いもん。魔力抜かれ過ぎたんやで」
「どうすればいい?」
「くっくっく。立派なお墓を建ててあげよう」
「じいさん。墓がもう1つ増えるが。良いんだな」
「くっくっく。結局ここでもダイレクト恫喝されるやんか、余。そんなん、その辺の魔力を軍手で捕まえてミアリスのおっぱいにでも押し込みなはれや」
黒助が頭をかいて、気まずそうな表情をした。
続けて言った。
「軍手が今の最終奥義で両手とも破れたのだが」
「くっくっく。なにしてんねん、クロちゃん。そうなると、女神の魔力由来のものを代替エネルギーとして……。リュックたん。そのおっぱい」
「……なぁ。大魔王さぁ。私、今Aカップじゃん? で、このおっぱいなくなったら、もう前のヤツに戻れねぇんだろ? マイナスBカップくらいになるじゃん……。ふぐぅぅぅ。こんなのってねぇじゃんか」
自分のおっぱいを大切そうに触るリュックたん。
惜別のタッチらしい。
しかし、黒助に妙案があった。
「待て。リュック。お前のおっぱいは大切にしろ。それよりも、もっとデカい女神由来の魔力の塊がここにあった」
春日黒助はコルティオールにやって来た際、女神ミアリスより最強の肉体を授かっていた。
純度100パーセント。
女神の創りしものである。
「すまんが、みんな。朝飯前に失礼するぞ」
黒助がミアリス様と唇を重ねた。
ズキュュュュンと一気に魔力が流れ込んでいく。
「……ふぇ? ほがっ!? ふぁひひへんの!?」
ミアリス様が意識を取り戻してもその行為は続く。
ベザルオール様がお察しになられた。
「くっくっく。舌入れとるな。あれ。最後までほんまギリギリアウトやで」
あと2話なんです。
見逃してください。
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