第289話 【クリスマス分岐ポイント終了!!】夢の中の春日黒助・リターンズ

 12月25日の深夜。

 春日黒助はベッドで寝息を立てていた。


 普段は熟睡して夢を見ない彼だが、今宵は少しばかり趣が違うようである。

 今回は黒助の夢の中からお送りいたします。


 この導入に覚えのある方は、多分どこか別の世界線からいらっしゃったのでしょう。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 黒助は家庭裁判所の法廷に立っていた。

 裁判官席にはクイックルワイパーを携えた老人が座っている。


「くっくっく。よくぞ参った。時空の旅人よ」

「なんだ、じいさん。夢の中に普通に出て来るなと言っただろうが。2度目だぞ」


「くっくっく。この子、全然記憶消えてなくない? なんで覚えてんの?」

「知らん。だが、起きたら忘れている気がする」


「くっくっく。便利過ぎてワロリーヌ。今宵は卿に伝える事がある」

「そうか。早くしろ」


「くっくっく。ちょっとキレ気味で怖いのだが。よく聞くが良い。卿はいくつものクリスマスイブを経験し、そのどれもをハッピーエンドへと到達させた」

「そうか。なんか知らんが、普通に過ごしただけだぞ」


「くっくっく。モテ男ムーブかましてくるやん。その結果、全ての世界線でヒロインズは幸せを手に入れる事に成功し、卿の生きている世界線は平和にクリスマスイブを超える事が出来た。余も別の世界線から介入してきたかいがあったと言うものよ」

「そうか。そう言えば、じいさんのいた世界はどうなった?」



「くっくっく。なんやかんやで滅びた」

「そうか。なんか悪化したな。まあ、気を落とさず頑張れ」



「くっくっく。この世界線の紳士的で理性的な卿を見守った結果、余の世界線の卿がなにゆえあのような事をしてしまったのか。不思議でならぬ」

「そうか。ちなみに俺は何をした?」


「くっくっく。セルフレイティングにガチ抵触するから言えない。とりあえず、エロゲーでも人を選ぶジャンルみたいな事になった。卿さ、ダメやで? ほんま。あんな事したら。そらね、世界滅びますわ」

「そうか。そっちの俺によろしく伝えてくれ」


「くっくっく。いずれにせよ、危機は去った。あとは卿の使命を果たすが良い」

「そうか。分かった」


「くっくっく。だが、余は予感がする。いずれ、再び卿の前に現れる日が来るような、そんな確信に近い予感が」

「そうか。では、その時にまた来てくれ。今日はもう帰れ。俺は寝る」


「くっくっく。この子、いくらなんでも冷たくない? 余の世界、滅びたんやで?」

「そうか。俺の世界は滅びていないが? じいさんも酒を美味そうに飲んでいたぞ」


「くっくっく。ぴえん。では、さらばだ」

「よし。とっとと帰れ」


 別世界線のベザルオール様と春日黒助の奮闘の結果、コルティオールの平和は守られた。

 だが、黒助ハーレムが存在する限り、再び凄惨な未来が牙を剥くことがあるかもしれない。


 そんな時、きっとベザルオール様がまた諸君の前に現れるだろう。


 かの全知全能、偉大なる大魔王はいついかなる時も全ての未来を守るお方。

 誰の涙も零れない時空を求めて、今日も世界線を巡り続ける。




~~~~~~~~~



 ベザルオール様からのお知らせ。


 くっくっく。卿ら、お疲れ様。

 いきなりパラレル展開ぶっこんで卿らも驚いたと思うが、余も始めてみたら意外とネタが足りなくて困っておる愚か者を見て頭を抱えておった。


 このまま最後の日常回をしばらく挟んだのち、世界は終息を迎えるようである。

 卿らにおかれましては、「いや、日常回からの落差!!」などと指を差しながら冷淡なツッコミをする用意をされたのち、今しばらく茶番に付き合ってくれると幸いである。


 そして無意味に長い余の余興(韻を踏んだ余だyo)を2話更新で消化してしまうゆえ、ぶっちゃけ時間がゴリゴリ奪われてぴえん。

 では、引き続き、道ゆく皆がまだ半袖着てるのに真冬の話をするこの世界を観測しながら、キンキンに冷えた飲み物とスナック菓子を片手に楽しまれると良い。くっくっく。

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