家の倉庫が転移装置になったので、女神と四大精霊に農業を仕込んで異世界に大農場を作ろうと思う ~史上最強の農家はメンタルも最強。魔王なんか知らん~
第214話 力の邪神と亀、出動する ~タイトルで既に漂う死亡フラグ~
第214話 力の邪神と亀、出動する ~タイトルで既に漂う死亡フラグ~
バーラトリンデの生物は極めて少ない。
これは、コルティの創造できる量が多くない事に起因するのだが、そもそも鉱石しかない星なので大量の住人を産み出して繁殖させるには無理がある。
基本的に、戦闘員クラスの鉱石生命体を産み出せば、彼らは寿命が尽きる頃になるとその生命核を元に次世代の子孫へと転生に近い形で代替わりする。
よって、現存しているバーラトリンデの住人よりも数が増える事はない。
現在、かの星には約30の鉱石生命体が生活している。
数が少ないため、このように侵攻作戦を行うとなればどうしても戦力も足りなくなる。
「げははははっ! げっほ、ヴォエ!!」
「いや、キモい。マジで。うっわ、鳥肌立ったわ。創始者様いないんだからさ、ヤメたら? そのキモいキャラ設定」
宇宙要塞・ラブラブベザルには指揮官のゴンツ。
副官のリュックが乗り込んでいた。
当然だが、2人だけで航行はできない。
足りない労働力は自分の力で生み出すのがバーラトリンデのやり方。
「げははははっ!!」
「了解でザンス! リュック、そろそろ着陸する準備が整うようでザンス」
「あー。うぜー。ってかさ、ゴンツの出した鉱石兵ってさ。なんかキモいんだけど。なに? なんでみんなあんたと同じ笑い方すんの? その縛りプレイ意味あんの? ふつーにうぜぇんだけど。意思疎通できてるとことか、マジでキモい」
「そう言わないで欲しいでザンス。言語能力をカットする事で、より多くの鉱石兵を同時にコントロール下に置けるようになったのでザンスよ」
このように、輝石三神のレベルになると自分の魔力を使い、鉱石に命を与え兵隊を産み出すことが可能。
これは鉱石生命体の独自進化によって得た力なので、コルティにもできない芸当。
ちなみに、現在ラブラブベザルには約200体の鉱石兵が搭乗している。
その全員が「げははははっ!!」と笑って意思疎通を取る。なるほど、結構キモい。
「では、あの辺りに着陸するザンスよ」
「あー。やっべ。動画撮ってたから制服で来ちゃったわー。これ、さすがに空気読めてねーかも。……ま、いいか。創始者見てねぇだろーし」
ちなみに、コルティさんは微熱を出して寝室で寝込みながらもちゃんとモニタリングを続けておられます。
バーラトリンデの宇宙要塞がコルティオールの大地に着陸し、根を張った。
その情報は、魔王城から春日大農場へと既に届けられていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ついに完成した新しい母屋の縁側に住んでいるモルシモシが鳴いた。
「うひゃあっ!? ああー!! もぉ、お茶こぼしちゃったじゃない!! うぅー。しかもスカートに……。パンツまで濡れたわよ。ちょっと着替えて来よ」
今日はお休みのミアリス様。
せっかくオシャレ着で過ごしていたのに、モルシモシの緊急アラートに驚いてお茶をぶっこぼす。
その緊急アラートを無視して、新衣装部屋へとパタパタ飛んで行った。
なお、新衣装部屋の収納力は以前の3倍になっており、勝負下着に加えて勝負服の収集も始めたミアリスさんに死角はなかった。
その間も鳴き続けるモルシモシ。
時刻は昼過ぎなので、ほとんど全員が農作業に出かけているのだ。
「はーい! もしもしー! ボクだよー!!」
『これはウリネ様!! 私、通信指令のアルゴムでございます!!』
ゲームをしていたウリネが最終的に通信に応じた。
お留守番の出来るいい子である。
「ゴムっちだー! どうしたのー? おじいちゃん、遊びに来るのー?」
『あ、いえ。ベザルオール様……おじいちゃんは、今日はちょっと忙しいようでして』
「そうなんだー! 大変だねー!! じゃあねー!!」
『ちょ、お待ちください!! ど、どなたか、近くに大人の方はおられませんか!?』
「むむー! ボク、大人だけどー!?」
『あ、違うのです! 大人と言うのはですね、ウリネ様のように若く可愛らしい女子ではない者と言う意味でございます!!』
アルゴム。
普段からベザルオール様の傍仕えをしているだけあって、咄嗟の危機回避が常人と一線を画すレベルに発達していた。
「そうなんだー! あー! じゃあね、メゾっちと代わるねー!! おーい、メゾっちー!!」
ウリネがモルシモシから離れてから数秒。
力の邪神がやって来た。
「くははっ。我は力の邪神・メゾルバ。何用か」
『……あなたでしたか。いや、この際贅沢は言ってられません。敵の要塞がペコペコ大陸の沿岸部に着陸しました。こちらでも迎撃隊を編成しますが、春日大農場からも先遣隊を出して頂けないでしょうか?』
「くははっ。なるほどな。では、我が行こう」
『えっ? あの、先遣隊と申したのですが。メゾルバ殿が単身で行かれると、万が一の際に非常に困ったことになります』
「なるほど。では、亀も連れて行こう。ペコペコ大陸であるな。では」
『……不安しかない。念のため、鉄人様にラインをしておこう』
こうして、力の邪神と亀のコンビが久しぶりの任務に臨むことになった。
なお、黒助はおろかミアリスにすら報告せずに彼らは出発していく。
衣裳部屋でミニスカートを15着も並べて「どれにしようかしら……。やっぱ、チラ見せする前提で選ぶべきよね……」と真剣な表情でしょうもない事を考えていたミアリスさんサイドにも問題があるため、一概にはメゾルバを責められない事を付言しておく。
◆◇◆◇◆◇◆◇
最近、甲羅の色が汚れて来たゲラルド。
かつては黒き盾として魔王四天王の筆頭に君臨したが、今は茶色い盾である。
見る度に色が変わる亀。
そのせいで呼び方すら定着しない。
「メゾルバ様。……どうして私は呼び出されたのでしょうか」
「我を背に乗せるためである。こうやって登場した方が、恐らく威圧感がある」
「敵についての情報はご存じですか?」
「くははっ。知らぬ。だが、所詮は要塞などに頼る弱者よ。いいところが雑兵の集まりであろう」
最高幹部が2人来ております。
「あの……。私もかつて、ベザルオール様のご指示に従って砦を造り、それを守護しておったのですが……」
「くははっ。だから負けただろうに。亀は異なことを申す」
ゲラルドは確かに感じていた。
その身に迫る、死神の鎌の音色を。
しばらく亀ジェットで飛んでいると、宇宙要塞・ラブラブベザルが見えて来た。
彼らの想像よりもはるかに巨大なそれは、メゾルバとゲラルドをしばし無口にさせる。
「……ゲラルドよ」
「……はい」
「我の考えていたのとちょっと違うのだが。……ここは一旦撤退するか」
「メゾルバ様。要塞の砲門がこちらに照準を合わせております。察するに、手遅れかと」
ラブラブベザルからレーザー砲が放たれた。
哀しき2人の行く末は死か。それとも壮絶な死か。
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