?×13=Fゅ

 君は振り返る。ここで君がなにをしてきたか、を。


 君は目覚めた? 気付いた? なんでもいい、とにもかくにも自らが置かれている状況に向き合った。


 向き合った? 向き合わされた? どっちだろうか?


 どちらでもよい。それはたいした問題ではない。他のことに比べれば、なんでもないことだ。そうだね?


 もっと大事な、もっと切実な、もっと重大な、もっと肝心な、……なんでもいい、もっともっと■■なことはある。


 思い出そう。もう十日以上前のことにも思えるが、たった数分前のことのようにも思えるそれのことを。


 それは、そもそもは、スタートはどうだったのか、を。


 始まりはこうだったはずだ。


 君は狭い部屋にいることに気がついた。


 まず、君は点滅する赤い丸に手を触れて扉を開いた。


 次の部屋に入ると、左手に扉となるディスプレイがあった。


 横棒に赤い丸を滑らせ、君は扉を開いた。


 開いた扉の正面にディスプレイがあった。


 第三の部屋で君はVの字に赤い丸を動かした。


 思い出したかね?


 まだ続けるかね?


 さぁ、どうする?


 君が決めるのだ。









 続ける? そうだね、賢明だ。そう、それがいい。では、続けよう。


 四番目の部屋では、どこにディスプレイはあったか?


 正面にはなかった。そう、入って左だ。


 君は一部が途切れた■系、いや、四角系から赤い丸を逃がした。そうして、五番目の部屋に進んだ。


 扉をくぐると、正面にディスプレイがあった。


 ここで君はオセロのまねごとをした。


 六番目の部屋では、正面ではなく左手にディスプレイがあった。


 ここまでディスプレイは扉の正面か左にしかない。右はない。


 正面、左、正面、左、正面、左。このパターンだ。


 君はもう一度、オセロのようなことをして扉を開いた。


 今度の部屋には正面にディスプレイがあった。


 君は星を導いた。


 今度はどこに扉はあるのだ。正面にはない。予想どおりだっただろう?


 そう、左だ。


 え? 違う? いや、違わない。君は予期していたはずだ。


 正面、左、正面、左、正面、左、正面、左。この規則性が乱れることはない。


 なんとなく、気付いていたはずだ。


 九番目の部屋に進むかどうか、君は考えている。


 次の部屋ではおそらく正面にディスプレイがあるだろうと、君は思っている。


 君は恐怖を感じている。同じ大きさの正方形の部屋が九つ。これまでの移動の経緯を振り返ると、恐ろしいことがわかりそうだ。


 ディスプレイを見れば、謎を解きたくなるだろう。


 顔を上げて、ディスプレイを見るべきだろうか。


 さぁ、どうする?


 君が決めるのだ。


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