ボクッ娘の赤い狐と緑の狸は、冬の星座も温めちゃうのかな?

大創 淳

第一回 帰り道から始まる、その出来事。


 ――冬の星座。つまり十二月半ばのプラネタリウムの帰り道。


 因みに令和元年の、今からもう二年前のことだ。


 僕は……ううん、僕らは歩いていた。もうボッチではないの。帰り道を、いつも三人で歩くようになった。この子たちと出会ってから、僕の生活は、学園生活も含めて以前とは考えられない程に、楽しく色づき始めた日々に変化をしていた。



 モノクロではなくカラー。

 それは、僕の心の色……。



 先頭を歩くのは、可奈かな……藤岡ふじおか可奈。しっかり者でまとめ役。僕の隣を歩く、そして有り得ない程に僕にソックリな女の子は、梨花りか……星野ほしの梨花。控えめに見てもソックリを通り越して、喩えるなら鏡のよう。見分けることが困難と思える程……


 それに名字まで同じで、一人称が『僕』というところまで、余すことなく激似以上。なので僕もまた女の子なの。千佳ちか……星野千佳が僕のフルネーム。同じ名字でも、違う家庭の子。同じ星野でも……まあ、遠い親戚ともいうけれども、他人で、お友達だから。


 最寄りの駅に着くなり、

 ……つまり学園からの帰り道、プラネタリウムに寄ってから、一旦は梨花のお家。診察券を取りに行くためで、彼女が熱っぽいように見えたから大事みて……ってことだ。


 その結果は、異常なし。


 でも僕は……僕の方に異常があったの、別の意味で。――鍵がないの。僕のお家の鍵がポケットにも、リュックもゴソゴソしながら探していると、梨花が……


「どうしたの?」と、心配そうな顔をして訊くの。


「ううん、何でもないよ」と、笑顔に努める。もう三人が其々へ別れる時間。リアルなお空に、冬の星座が映し出されそうだから。きっとお家の人が心配すると思ったから。


 散り散りに、つまりは解散。皆を見送った後、僕は自分のお家の前で佇んだ……



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