第51話 教会はお城の中に

 占星術師が、俺たちに教会の在り処を教えてくれない訳がわかった。

 というか、彼がずっと城を離れなかったのがその答えだったわけだ。

 例え、彼が地面に降りたら死ぬ魔将だったのだとしても。


「教会ですねえ……」


 エクセレンが唸る。


「教会だなあ……」


 俺も唸る。

 目の前には、星見の塔が崩れた跡。

 お城の三階部分なのだが、星見の塔周りだけはやたらと壁が分厚くなっていて、不自然なほど使えるスペースが無かった。


 そこが先程崩れたのだが、ベテルギウ王を連れて見に行ったら、別の建物の屋根が覗いていたのである。


「これは……星の教会か! 伝説に聞いたことがある。空から星が落ちた時、奇跡のように残った岩の柱を削って作り上げた教会。それがこの星の教会だと。ここで我らは暦を発見し、世界に広めた。ライトダークが始まった場所こそが、星の教会なのだ」


「そいつが城の中に隠されていたんですね。陛下は知ってたんですか」


「知らなかった。恐らくは占星術師が、代々受け継いでいた秘密だったのだろうな……。まさかこんな近くに、始まりの場所があったとは」


 その後、兵士たちが集まってきて、わあわあと壁を崩す作業に入ったのだった。

 石壁を取り除くと、たくさんの土が埋め込まれていた。

 これを掘っていくと、星の教会とやらに行き着く。


 不思議なことに、教会を覆っていた土は建物の中には入り込んでいなかった。


「きれいですね! うちの教会と一緒です!」


「不思議な力で守られてるのかも知れないな。ほら、紋章があるぞ」


 教会の奥の壁には、神の紋章が飾られている。

 エクセレンは小走りで駆け寄ると、紋章に祈るのだった。


「神様! ボクは強くなったと思ってたけど、まだまだ未熟です! 操られちゃいました! なのでもっともーっと強くなりますね!」


 エクセレンの分かりやすい宣言。

 これは神に届いたようである。


 すぐさま、彼女の棍棒が輝き出した。

 六角ある面の一つに、金色の輝きが生まれる。


「星のトゲだ!」


「星のトゲ!?」


 エクセレンの発言に、これを見ていたベテルギウ王以下、ライトダーク王国の面々が目を丸くする。

 だが、彼らの表情はすぐに感動に満ちたものに変わった。


 神の奇跡を目の前で見たわけだからな。

 エクセレンが神に選ばれた勇者なのだと、完全に確信したのだろう。


「勇者よ! これまでの数々の無礼をお許しいただきたい! そして我がライトダーク王国をお守りくださり、ありがとうございます!」


 片膝を突いた王が声を張り上げる。

 騎士や兵士たちも皆、それに倣った。


「あ、え、え、いいんですよー! ボクの仕事は魔王をやっつけることなので!」


 慌てるエクセレン。

 田舎の村娘に、一国の王が頭を下げるなんて前代未聞だものな。

 だが、神に選ばれて、世界を襲う危機に立ち向かうというのはそういうことだ。


 エクセレンは俺たち人間の代表ということだからな。

 つまりある意味一番えらい。


 彼女がぶら下げている棍棒は、満足げに黄金の輝きを放っているのだった。

 その後、ライトダーク王国では宴が催された。


 そこでは、占星術師が王国に潜んでいた魔将だったということは隠され、謎の魔将が勇者によって打ち倒されたという話が語られた。

 占星術師はその犠牲になったとも。


 新たな占星術師としてスターズが任命され、星見の塔の再建が王の口から語られると、宴の会場からは大きな拍手が巻き起こった。

 様々な挨拶を終えたらしき、ベテルギウ王が俺たちのところにやって来る。


 我らエクセレントマイティは、慣れない礼服とドレスで、頼りないやら窮屈やらで、それでも負けじとガツガツ料理を平らげているところだった。


「やっているな! それで、どうだ。次の目的地は決まったのか?」


「うーん」


 骨付き肉を手にしていたエクセレンが首を傾げている。

 彼女のドレスが汚れないよう、首からエプロンが下げられている。


 見た目的には、ドレスとしては台無しなので、誰も宴のダンスにエクセレンを誘いにやって来ない。


「決めてません」


「ではどうだ、我が国に残るというのは」


「うーん、それをすると魔王を倒せないのでできないです」


 エクセレンの返答は単刀直入、単純明快だ。

 ベテルギウ王も、曲解のしようがない答えに笑うしか無い。


「嘘の付けぬ勇者だ! だが、そなたは真っすぐでいいのだろうな。周りにそなたを守り導く大人たちがいる。そのまま健やかであれ」


「? はい!」


 分からないなりに、褒められていると思ったのか、エクセレンは笑顔で返事をした。

 次に、王は俺に話しかけてくる。


「マイティ。実はな。ライトダークの文献を紐解いて、教会について調べさせたのだ。我らが住むこの世界は、サウザームという巨大な島だ。これは知っているか?」


「へえ……。知らなかった」


 俺たちが住んでるのは島だったのか。


「大陸、と呼ぶ。ライトダークをまっすぐ北上していくと、どんどん暑くなってくる。そこに密林の国がある。あえて原始的な暮らしをし、我々の社会とは関わりを絶って存在している、謎の多い国だ。その密林の中に、森の教会があると聞いた」


「ほう! 三つ目の教会ですな」


「うむ。サウザームには三つの古代の教会があり、そこから橋の王国を抜けて辿り着くノウザーム大陸に二つの教会がある。残り一つは分からない。これからの旅も、大変ではあろう」


「でしょうな。ですがまあ、魔王退治はやらねばならんので」


「ああ。世界の命運はそなたらの双肩に掛かっている……! 我が国からも、援助をしよう。旅立つまでの間、疲れを癒やすがいい、勇者たちよ」


 かくして俺たちは、ライトダーク王国からの補給物資を得た。

 そして、次なる目的地、森の王国への地図も。


 さて、次はどんな冒険が俺たちを待っているのやら。


「見て下さいマイティ! 星の欠片で作られたショートソードらしいですよ! パワーアップしちゃいました!」




パーティー名『エクセレントマイティ』

ランク:A

構成員:四名


名前:エクセレン

職業:エクセレントファイター

Lv:33

HP:351

MP:260

技 :魔技ミサイルスピン クイックドロー バックスタブ パイルバンカーブロウ

エンタングルブロウ

魔法:マジックミサイル(中級):派生ドリルマジックミサイル(中級) ヒール(中級) ライト(中級)

覚醒:シャイニング棍棒 グランド棍棒インパクト1 シャイニング斬 シャイニングアロー

武器:聖なる棍棒(第二段階) 星のショートソード 鋼のトマホーク ハルバード

 ガイストサーベル 帝国の弓矢 魔王星の欠片

防具:チェインメイルアーマー(上質)



名前:マイティ

職業:タンク

Lv:87

HP:1250

MP:0

技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)

   マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)

   ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級) マッチング(中級)

   ベクトルガード(初級)

魔法:なし

覚醒:フェイタルガード ディザスターガード2

武器:なし

防具:熟練のプレートアーマー、??のビッグシールド、星のマント



名前:ジュウザ・オーンガワラ

職業:ニンジャ(オーンガワラ流アークニンジャ)

Lv:84

HP:680

MP:535

技 :クリティカルヒット(特級) デックスアーマークラス(特級) ラビットムーブ(特級)

   シュリケンスロー(特級) ハイド&シーク(特級)

魔法:カトン(特級) スイトン(特級) ドトン(特級)

覚醒:クリティカルヒット(極)

武器:投擲用ダガー、星のダガー

防具:なし



名前:ディアボラ

職業:アークメイジ

Lv:154

HP:490

MP:2600

技 :テレポート

魔法:(一部のみ記載)ヒーリングサークル ウォーブレス ステイシスサークル

 メテオフォール ライジングメテオ ボルカニックゲイザー 

 ツイスター メイルシュトローム ランドスライダー

覚醒:魔法儀式行使

武器:儀式用ダガー

防具:魔将のローブ(サイズSS)、星の帽子


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