心
Kolto
内側
変わらない日常
静かな休日
暖かい朝が始まる
寝具と肌が擦れる音が小さく部屋に響く
「よう!!!コルト!!!起きてるかー!?」
突然大きく響き渡る元気すぎる声
コルトの家をシェアしている白雪と、そのもう1人の住人、アウラ・レンのちとせ
「~ッ…うるせぇぞちとせ、静かにしろ」
小さく舌打ちして眠い目を擦りながらちとせを睨みつける
「寝起きか!?相変わらず寝起きの機嫌悪すぎるだろ!顔怖いぞ~」
「お前がうるさすぎるんだ」
「いい天気なのによ~!白雪ちゃん居ないからっていつまでも寝てるんじゃねぇよ!釣り行こうぜ!最近ハマってるんだよ!」
「………行かねぇよ…」
「ノリ悪いぜ~!ってか俺に対して扱い雑過ぎない?白雪ちゃんに対してはあんなにやっさしぃ~顔してるのによぉ~!」
「うるせぇな。さっさと釣り行けよ…」
「はーいはい、今度一緒に釣り行こうぜ!あ!今日釣れたらその魚で料理してくれよー!?」
「自分でやれ…って聞いてねぇし…」
嵐のように去っていく ちとせ
去っていく姿をぼーっと見つめる
「ほんと…元気な奴…」
数年前、コスタ・デル・ソルでの任務中コルトが浜辺に打ち上がったちとせを助けたのがきっかけで出会った
ちとせは紅玉海出身、都会に憧れて(?)亀に乗ってやって来たと言う
おかしな話だが、行く宛ても無いちとせを家に住まわせて今の関係になった
見た目はチャラついているが、とても礼儀正しい青年
「俺もアイツみたいになれたらいいのに」
ぼそっと呟くと 起きて朝の支度を始める
_________________
ウルダハ
家に常備している香辛料が切れた為、買い物をする事にした
結局魚が釣れなかったちとせも着いてきている
するとよく見る姿を見つけた
「……白雪?」
ララフェル族の男性と何やら話をしている白雪が目に入った
早足で歩き始める
「え…コルト…?あ、おいっ!コルトどこ行くんだよ~?」
ちとせは慌ててコルトの後を追った
__________
「おねーさん!この首飾り買わないかい?きっと似合うよ~!」
「で、でも…あんまり好みじゃ…」
「ここだけの話、この首飾りを着けていると、恋愛成就に効果あるんですよね~!これ買った人、1年以内に結婚までしてる人結構いるんですよ~?」
「!!ほ、ほんとに…!?」
「ホントホント~!普通なら80万ギルだけど、おねーさんなら30万ギルにしてもいいよぉ~?」
「さ…さんじゅう…う、う~ん…」
「これを逃したら二度と買え…あ?ひ、ひぃぃぃ!!」
「!?え!?ちょっと…」
慌てて逃げる商人を唖然と見つめる白雪
振り返るとコルトがいた
「!?コルト?」
「白雪、もう任務は終わったのか?」
「…え?あ、うん!早めに終わったからちょっと散歩してたの!」
「そうか。今日はちとせがいるから晩ご飯は肉料理でもいいか?」
「ちーちゃん来てるんだ!うん!楽しみ!」
コルトのいつもの優しい声にほっとして顔が緩む
この日の夜は3人で遅い時間まで話が盛り上がっていた
_________________
「珍しいなぁ!コルトが釣りに付き合ってくれるなんてよ~!」
「今日はそういう気分なだけだ」
「…何でお前は俺の前ではそんなに怖い顔してるんだよ…」
「は?何言ってるんだいつも通りだろ」
「はいはい、あっ!あんな所に可愛い子がいる…うわ~めっちゃ好みだな…」
「話しかければいいじゃないか」
コルトがそう言うとちとせは釣具を落とし、椅子から盛大に転げ落ちた
「い、いや!いきなり話しかけたらさ!びっくりしちゃうだろ!」
「恋愛経験豊富なんじゃないのか?」
面倒くさそうな顔でコルトが言う
「そりゃな!?俺はモテるから!?そ、そーだなぁ!今はそんなに彼女欲しいって気分じゃねーしぃ!?」
「あっそ、臆病者だな」
ちとせはふと真面目な顔になって座り直し、釣り糸の先を見ながら言葉を発した
「俺よりもお前の方がよっぽど臆病者に見えるけどな」
コルトはちとせの方を見ると不機嫌そうに「は?」と言う
「おお~怖っ。昨日のウルダハ、お前人を殺しそうな顔してたぞ~」
「……」
「お前って本当に分かりやすいよな!お前のそういう姿、他には見せないのかよ」
嘘はついていない
どちらも本当の自分だ
白雪に今の自分を見せたら怖がるのだろうか
大きい種族が苦手な白雪
自分にだけはただただ笑顔を見せてくれる
本当は俺だけに見せて欲しい
他の誰にも見せたくない
そんな自分を出したら白雪は…
俺はちとせの言う通り臆病者だ
「たまには釣りもいいかもな」
「お!?じゃあ明日も付き合ってくれよ!」
「やだ」
「何でだよ~!!!そこは行くって言うとこだろ〜!!」
ちとせの反応にくすっと笑う
少し切ないような
そんな微笑みで
心 Kolto @kolto441
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