げんき組の鶴翔さんはとても忙しい! だから、
はくすや
げんき組の
その春、二年生になった僕はいきなり男子学級委員になった。
別に立候補したわけでも、クラスメイトに他薦されたわけでもない。担任の指名だ。そうでもなければ僕みたいな地味で目立たない男子が表舞台に立つことはなかっただろう。
担任が僕を指名した理由はただ一つ。僕の名が「
そんなのウソだと誰もが言うだろう。しかし今年初めて担任となった四年目の
「私たち二年G組は一年生の時の成績が八クラスで最低です……」
一応、沢辺先生は二十代半ばの女性教師だ。顔もまあ可愛い。自分のことを「私」と言っても許されるだろう。その発想と言動がうざくなければ。
「……最低といってもわずかな差ですが」ならば言わなくて良いんじゃね。
「でもG組なんです」それがどうしたの?
「このままだと二年ゴミ組と言われかねません」それが教師の言うことだろうか。
「そう言われないためにもハッキリとさせなければならないと思うんだよね」なぜかそこで友だち口調。
「幸いなことに、このクラスは最も元気な子が集まっています」それは何となく気づいていた。まわりがうるさい。居心地が悪い。
「だからこのクラスを『げんき組』にしようと思う」なんで別名が要るかなあ。
「二年げんき組。良いんじゃない?」
沢辺先生の問いかけに悪のりする一部男子。「イエーイ!」とか言ってやがる。
三十八名中男子は僕を入れて十四名と少ないが、それ以上いるように感じる。
「そこで提案です。『げんき組』にするために、このクラスの男子学級委員は
「オオー!」と歓声ならぬ喚声が沸き起こった。
新学期初日のホームルームで騒いでいるのは僕たちのクラスだけだった。
「ちょ、ちょっと、待って……」という僕の声は完全にかき消された。
いつの間にか沢辺先生が僕の席近くまで来ていた。
「良いよね?」沢辺先生は大きな目で僕を見つめ、その後、目を細めてにっこりと笑った。
か、可愛い、けどウザい。そしてでかい。
身長が百六十センチないのにでかく見えるのは、横に大きいからだ。肩幅、胴体、太もも、手首足首以外ムチムチっとしている。
沢辺先生は女子の体育の先生で、学生時代は水泳をしていたらしい。肩幅が広いのはそういうわけだ。
そして体育会系のノリ。しかし時々「女の子」になる。
「生出くん、お願いね♡️」
あざとい顔に僕は負けてしまった。というわけで新学期初日にして僕のスローライフは夢と消えた。
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