delta_5関連実験記録
以下はナル異端科学研究所で行われたdelta_5に関連する実験記録群である。
記録1
手術日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の手術室1
被験者名 松江 香菜(まつえ かな)
性別 女
年齢 20 (死亡時)
概要 意思コンピュータ移植手術
術者 [データ破損箇所]
所要時間 約5時間
経過
12:56 手術開始
13:30 脳摘出完了、スキャン開始
16:32 スキャン完了、圧縮プログラム実行開始
17:43 圧縮完了、HDDへの書き込み開始
17:45 HDDへの書き込み完了
結果 実行可能ファイル1件が生成された。このファイルはdelta_5と命名された。
事後処理 脳はホルマリン漬けにして保管。それ以外は焼却処分する。
記録2
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5初回起動実験
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品
スタンドアローンなコンピュータ(GUI環境でUbuntuがインストールされている) 1台
23.8インチのモニター 1台
マウス・キーボード 各1台
プログラムファイルdelta_5を記録したUSBメモリ 1本
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。
結果 画面に派手な色をした少女のようなイメージが出現。自らの置かれた状況に困惑しているようだった。
記録3
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録2を参照
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。
結果 前回と同じようなイメージが出現した。前回と比較して明らかに落ち着いている。
記録4
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験及びコミュニケーション
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録2の物品に加えて
小型スピーカー 1台
小型マイク 1台
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。その後出現するイメージと数分間会話する。
結果 前回までと同じようなイメージが出現した。いたって落ち着いた様子でこちらを見ていた。会話によるコミュニケーションは問題なく成功した。起動されていないときのことを問うと、「眠っている感じだ」と答えた。サブカルチャーに関する一般的な会話の後、ここはとても狭いので開放してほしいとの発言があった。主張は却下された。
記録5
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験及び性質の確認
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録4を参照。ただし、コンピュータとモニターを2台に増やした。
手順 2台のコンピュータをLANケーブルで接続した。一方のコンピュータでdelta_5を実行する。その後出現するイメージに、もう一方のコンピュータに移れるかを問う。
結果 イメージが出現し、移動を指示するともといたモニターから消え、もう一方のモニターにイメージが移動した。ファイルシステムを確認すると、もとのコンピュータからファイルが消失し、もう一方のコンピュータにファイルが移動していた。
記録6
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験及び性質の確認
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録4を参照
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。その後出現するイメージに、自らをもう一人作れるかと問う。
結果 イメージが出現し、指示をすると画面に同じイメージがもう一つ増えた。それぞれ異なる動きをしているが、感覚は同時に感じていると述べた。ファイルシステムを見るとファイル名の末尾に(1)とついたdelta_5の複製があった。
記録7
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験及び耐久性の確認
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録4を参照
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。その後出現するイメージに、暴力的なものあるいは性的なものを含む罵倒や[データ破損箇所]を浴びせる。
結果 イメージが出現。対象ははじめ困惑し、後半にかけて露骨な不快感を示した。
記録8
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験及び耐久性の確認
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録4を参照。それに加え、猟奇的あるいは猥褻な画像と映像を収録したUSBメモリ1本
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。その後同じコンピュータで、USBメモリに保存された画像や映像を閲覧する。脱走を防ぐため、USBメモリは部屋から持ち出さず接続したままにする。
結果 イメージが出現した。画像や映像を開くと、対象は非常な不快感を示した。その後、イメージはここから出して欲しいと訴えた。要求は却下された。
記録9
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験及び耐久性の確認
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録4を参照
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。その後、マウスカーソルを用いて出現したイメージを[データ破損箇所]
結果 イメージが出現した。イメージは明らかにふさぎ込んでおり、典型的な抑うつ傾向を示した。耐久性の確認では、1時間にわたりマウスカーソルによる疑似的な[データ破損箇所]が行われた。イメージはその後呼びかけに応じなくなった。
記録10
実験日 [データ破損箇所]
場所 gamma_09の隔離コンピュータ室
概要 delta_5定期起動実験及び耐久性の確認
実験者 [データ破損箇所]研究員
使用物品 記録4を参照
手順 コンピュータでdelta_5を実行する。その後[データ破損箇所]
結果 実験は失敗した。不手際によりdelta_5が外部ネットワークに流出。プログラムファイルは消失した。詳細は事案報告書_[データ破損箇所]を参照すること。
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