南衛府監(三)

二、スラザーラ式目の発布


 コステラ=デイラにて生活するうえで、守るべき事柄を明文化し(※1)、公女[ハランシスク・スラザーラ]の名で広く平民に知らしめた。また、役所に行けば、だれでも式目を閲覧できるようにした。

 サレは、最初から完璧な式目をつくろうとはせず、まずは、慣例をなるべくそのまま明文化して、なにをすればどのような罰を受けるのかわからず、不安がっていた平民を安心させた。その後、実際の運用の状況を見、また、平民の代表の意見も聞いて、式目の加筆修正を行った。その際は、近北州のブランクーレ式目を参考にした(※2)、



※1 守るべき事柄を明文化し

 ムゲリ・スラザーラも様々な決まりを定めたが、それまでの慣習に従い、明文化はしなかった。このため、コステラ=デイラの民は、どのようなことが罪とされ、それに対して、どのような罰を受けるのか、全体を把握することができないままでいた。

 また、裁判をする者によって、刑罰の軽重がばらばらなうえ、権力者の介入も日常茶飯事であった。これもサレは改めた。


※2 近北州のブランクーレ式目を参考にした

 この行為は、「法が趣味」と公言していたハエルヌン・ブランクーレを大いに喜ばせたが、逆にスザレ・マウロの感情を大きく害した。

 このようなサレの行った法の整備に、マウロおよびモウリシア・カストは感心を抱かず、コステラ=ボランクの法整備は旧態依然のまま放置された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る