3-17『終焉の牢獄ー老人』
ここは冒険者ギルドが誇る、終焉の牢獄って場所らしいのだが……呆気なく入れてしまった。
(もうちょっとしっかり防犯機能つけた方が良さそうだよなー)
という訳で、目の前にはあの老人がいる。
ちなみに僕は今牢屋の中にいます。
にしても痛そうだな~
手錠とかそーいったのでいいと思うのだが、老人は魔法陣(たぶん魔力封印とかのやつ)に、手や足を貫通させ鉄の杭で張り付けられてる状態だな。
(んー杭には回復の魔法陣?あ~死なせない為か)
杭などが貫通してる割に、老人からは一切血が流れていない。
(なんでだろ、この老人見てるとムカつくな……)
みぃとみぅを傷付けようとしてた奴、トドメさそっかなーと思ってしまうが、今はこらえておこう。
「起きろ~」とりあえず声をかけてみる。
(起きないな……ふむ)
「『ヘルフレ……』」
2人の前では比較的温厚の僕だが、2人がいなければ結構やりたい放題してたりする。
なので起きないならいっそやっちゃうか~と判断したのだけど、まぁ予想通りだな。この老人は狸寝入りしてたようだ。
「…ん?……まっまてまてまてまて!!その魔法はなんじゃ!!いったい貴様は誰なんじゃ!!」
寝てた感じに振る舞うが、僕にはお見通しだったんだけどな。
(魔力感知したら魔力で後ろの魔法陣を触ってたし、書き換えようとしてて寝てるはおかしいもんな)
「んー僕?いつでもあんたを殺せる人だと思うが、それ以上聞きたいか?」
「いや……大丈夫じゃ」
これは脅しではない。とりあえず軽く僕の後ろにさっき放とうとした『ヘルフレア』を一点に凝縮させてみたんだが、老人はそれを見ただけで色々分かってくれたみたいだな。
「今から僕はお前に質問をする、答えなければ魔法で記憶を取るからいいんだけど、そのあとすぐ殺すからよろしくね?」
「………ああ」
(記憶を取るとか出来ないけど、異世界なら出来るかなーって思って言ってみたが、老人の反応的にやっぱあるんだなーそういうの……)
僕はポケットの中に嘘発見器(魔道具)を入れてるので、こいつが嘘をつけばすぐに分かる。
☆☆☆☆☆
ヘルフレアはとりあえずきゅっと消しておいた。
魔法消滅魔法はすごく便利だなと思うよ、うん。
「質問だけど、お前って魔王の配下ってのは本当か?」
いちいち遠回しにする質問でもなし、直球で投げかけてゆく。
「今の魔王の配下ではないの」
(ふむ……嘘ではないな)ポケットの中に手を入れてる僕、魔道具は嘘だと見破れば震える筈なのだが無反応。つまりこれは本当だな。
(つまり、ビンゴってことか……)
現代にも魔王が居ることは知っている。
今もどこかの大陸で虐殺をくり広げ勢力を拡大してるとか何とか言ってたが、まぁどーでもいい事だな。
僕が興味あるのはこいつが今でも忠誠を誓ってるっぽい、過去の魔王様なんだからさ。
「なら、なんの為に闘技場で暴れたんだ?」
「………………………隠しても無駄かの、あそこには魔王様の魂を持った者が居るという情報を聞き付けたのじゃよ」
また反応のない魔道具。
「ん?魔王の魂を持ってる?つまりお前の言う魔王は死んだのか?」知ってるがあえてカマをかけてみることにした。
「……ああ、遥昔にな……たった1人の人間の赤ん坊によって殺されたよ」
(どうやら嘘発見器が壊れてるって訳じゃないな、真実のみ語ってるってことか)
なのでまぁここからが本題だ。
「なら、お前はあの退会でその魔王の魂を持った奴を殺そうとしたのか?」
はっきり言ってここで全ては分岐する。
こいつが生きるのも死ぬのもこの質問の答え次第だな。殺そうとしたのなら、魂を解放するのに器の消滅が必要と判断できる。
けれど殺さないならば……と考えていると老人は言う。
「殺してしまったならば、魂の解放は成らんよ、捕まえてから魂のみを抜く必要がある。さもなくば肉体を無くした魂は刹那の時を待つことなく天に回収されてしまうからの」
つまり、この老人は死なずに済んだって事だ。
「その方法は?」
「さすがに言えぬ、方法を伝えるということは魔王様を慕う我ら幹部の居所を言うのと同じ、お主の様な化け物は見た事がない……かつての魔王様ですら敵わぬだろう……つまり我らの絶滅に起因する事は流石に言えぬな」
(ふむ、つまり僕はそれぐらいの強さってことなのか?)
実感は無いけど、魔王のそばに居て、魔王を慕うものが主の負けを認めるって事はつまりそういう事なんだろうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます