2-16『カリバーンー冒険者の宿』


 部屋は見たところ3LDK、正直思ってたよりもかなーーり広い。


 作りは異世界らしい?というのがよく分からないが、全てが適当な木材を片っ端から使ったんだろうという、あるもので作った感じの概要だな。

(僕の住んでた国って、よく考えたら凄いよな~賃貸だろうがボロ屋だろうが、とりあえず材料は統一されてたし……)


 とはいえ、たとえどんな木を適当に貼り付けたような造りでも住むのには大した問題はない。

(クロスが貼られてないから、木へんが刺さらないようにだけ注意したらいいだろ)

 細かい注意点はあるものの、外で生きるよりも命の危険は全くないし、なにより雨風を凌げ暖かいので充分だと思うな。


 それにだ。

「キッチンだ!!それに……トイレもあるし、風呂!!!お風呂がある!!!」やはり人が住む場所と言うのは、最高だと思う。

 思わず大きな声で喜ぶ僕、みぃとみぅはそんな僕が珍しいのかじーっと見てきてて、なんか恥ずかしいです。



 ☆☆☆☆☆



 今は夜、21時半頃である。

 この2人はもうとっくに寝る時間が過ぎてるからか、安全の確保されたこんな室内に入ってきたせいで、うとうとと寝落ちしてしまいそうな雰囲気である。


「おーい、せめて飯食ってから寝ような?」


「……にゅ~」「……はいです……」

 この2人が起きてられる時間はあと5分も無さそうだ。


 なのでさっさと料理を作る。正直キッチンさえあればいつもの料理などものの3分もあれば作れるからな。


 まずは異空間収納から、いつもの鉄板を取り出す。

(なんか名残惜しいな~)いつも使ってただけに愛着があったのだが、ここには地面がないので作り上げる為にこれを使う。

「『錬成』」毎回、金!!っていうのはなんか銭ゲバにも見えるし、下ネタにも聞こえないことがないのでちょっと言葉を変えてかっこよくしてみた。


 とまぁ一瞬で鉄板はフライパンとなる。


 コンロにおいて火をつけ温める。

(この世界、調味料が前世のと似ててよかったよ)

 少し味は大雑把であるが、ほとんどの調味料は店で買える見たいなので大助かりだな。


 まずは油を敷く、それから異空間収納から取り出すキノコと前もって細かく切っておいた雪兎の肉を放り込む。

 これで焼きあげればいつもの料理の完成、なのだが……今日は違う!!時間もないのであれだが、塩、胡椒を振りかけるだけ…!


「にゅ!!」「……!?」


 うとうとしてた2人も目が覚める、これこそが調味料の効果!!と興奮してるから、いつもはしないフライパンの上で食材を跳ねさせカッコつけてます。


 机の上に魔法でこの間作った陶器の皿を置いて。


「へいおまち!いくと特製(誰でも作れる)キノコ炒め!」


 まぁ当然のことだけど、2人は大喜びで平らげた。

(今まで旨み成分ってのを食べたこと無かったはずだもんな~肉の時も大喜びだったし、この先の修行にも身が入るだろうから美味しいものを出来るだけ食べさせてやろう)

 腹が減っては戦ができぬとはよく言ったもの、食べてるものこそ強くなれるのは昔から当たり前に誰でも知ってることだからな。


「すぅ~すぅ~」「…zzZ」


 食べ終えるなり寝落ちする2匹、寝顔も本当に天使だよな~って思う。

(寝てたら喋らないからフィギュアみたいなもんだよな~)

 ぼーっと見てるとふと前世の事を思い出す。(そーいや僕の必死に集めたコレクションどうなったんだろ)

 とかまぁ気にはなるが、もう前の生でのことは一旦考えないでおこう。(えっちなのは携帯の中のみ、暗証番号でロックされてるから見られないはずだもんな……ふふふ)


 こうして街に来た一日目は幕を下ろす。


 訳では無い。

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