第217話 はい、私がやりました。
鑑定の結果、余すところなく全ての項目が表示されている。スキルの詳細も見れるし、文字化けしている箇所もなかった。
名前は
年齢は17歳でレベルは36と表示されている。この世界ではじゅうぶん高いけど……異世界基準だとどうだろう。オークには勝てるが上位種には苦戦する、ってところか。
そして肝心のスキルについては――
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啓吾 Lv36 17歳
職業:村長 異世界村 〇◇
ユニークスキル:村Lv4(17/50)
『村人認定』
忠誠度の基準値を設定して村人認定が可能
※基準を下回ると村人認定は自動で解除
村人の得た経験値を一定量徴収する
現在の徴収率:10%
『安全地帯』
自身と村人以外は侵入できない結界を構築
※任意の場所に設置可能
※一度解除すれば再設置可
※直径50m、高さ20m
『自宅強化』
自宅の強度を大幅に上昇
電気・ガス・水道を無制限に利用可
『異界交易』
魔石を対価として日本の物品と交換できる
※市場販売されている品に限る
※物品リストは村人口に応じて増加
太陽神の加護:日本と異世界間の転移が可能
※自宅を中心として一定範囲を転送
※現在の座標点:認識不可状態
月神の加護:村にダンジョンを生成できる
※階層制限:15層
※最大設置数:1
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職業とスキル名こそ同じだが、その内容はかなり違っていた。
とりあえず、村の名前については触れないでおこう。彼の気持ちはよくわかるんだ。なにせ私の初期候補にも入ってたからね……。
それより気になるのは、村名の隣にある『◇』と『〇』の記号だ。おそらく2柱神の加護だとは思う……あ、やっぱりそうみたいだ。詳細もわかったけど、ひとまず後回しにして順番に見ていく。
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『村人認定』
忠誠度の基準値を設定して村人認定が可能
※基準を下回ると村人認定は自動で解除
村人の得た経験値を一定量徴収する
現在の徴収率:10%
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これについてはまあいいだろう。とくに注意する点も見当たらない。私とよく似ているし、忠誠度の基準項目も同じだった。徴収のおまけがついているくらいだ。付け加えるとしたら、徴収率は10%で固定だったことくらいか。
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『安全地帯』
自身と村人以外は侵入できない結界を構築
※任意の場所に設置可能
※一度解除すれば再設置可
※直径50m、高さ20mで固定
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詳細を見る限り、何度でも設置し直せる移動結界だと思われる。ただ、敷地を拡張することはできないようだ。スキルレベルが上昇すれば……ワンチャンありそうな気もする。
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『自宅強化』
自宅の強度を大幅に上昇
電気・ガス・水道を無制限に利用可
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ライフラインが使えるのは非常に便利だ。自宅にいる限りは快適な生活を保障されている。それに耐久度も上がるなら、結界にこだわる必要もない。遠出するときも自宅を放置できるし、移動結界で安全確保しながら街へ行くことも可能だ。
――と、ここまでは概ね予想の範疇だと思う。村の定義が曖昧なのは気になるけどね。結界の中が村なのか、それとも自宅周辺が村なのか、それがよくわからなかった。
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『異界交易』
魔石を対価として日本の物品と交換できる
※市場販売されている品に限る
※物品リストは村人口に応じて増加
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やはり目に付くのはこの能力だ。それっぽい予測はしてたけど……魔石を対価にしていること、そして日本の製品限定だというのが判明した。残念なことに価格表までは表示できなかった。
(しかしコレ、もし能力強化できたら……海外からも取り寄せできるのだろうか。銃はともかく、兵器が買えたらヤバいだろ)
戦闘兵器も買えるなら、それこそ異世界無双状態に突入してしまう。ユニークスキル所持者があと何人いるのか。これについては調査が必要なのかもしれない。
そしていよいよ女神の加護について――、とはいかないようだ。玄関から向かってきた彼が目の前まで来てしまったからだ。
(ひとまず考察は後回し。まずは話を進めて情報を引き出してみるか)
◇◇◇
お互いが結界を挟んで向かい合う。それぞれの背後には護衛がつき、すぐ横には政樹さんと自衛隊の方が控えている状態だ。
「はじめまして、僕は
「私は啓介です。本日は面会に応じていただき感謝します」
「あ、これはご丁寧にどうも……それと、お待たせしてすみません」
「警戒するのは当然ですよ。気になる点があれば遠慮せず言って下さい」
相手がどういう気性の人物かもわからない。ひとまず丁寧な口調で、当たり障りのない挨拶を交わしていった――。
どうやらこっちの状況も少しは把握しているようだ。政樹さんから聞いてるのはもちろんのこと、アップした動画も見てくれていた。
「そういえば、あの女神って本物ですか?」
「はい。正真正銘、女神さま本人です」
「いや、でも向こうの世界には、太陽と月の女神しかいませんよね」
「ええ、私も最初はそう聞いていました。大地神の存在を知ったのは結構あとのことになります」
「なるほど……?」
「これは秘密にして欲しいのですが――」
さっそく女神の話題がでたので、それとなく探りをいれてみる。
自分の能力のことや、日本と異世界を往来できること、あくまで最低限の情報を開示しながら、秘密という体で歩み寄っていく。ちなみにこれは、政府関係者である政樹さんへの情報提供も兼ねている。いずれはわかることなので、今後の活動にはほとんど影響しないはずだ。
「そうだったんですか。実は僕も女神さまに加護をもらって――」
お互いの立場に共感したのか、それとも正当な対価として話してくれたのか、割とすんなりゲロってくれた。
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太陽神の加護:日本と異世界間の転移が可能
※自宅を中心として一定範囲を転送
※現在の座標点:認識不可状態
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鑑定の結果どおり、太陽の女神のおかげで日本に戻ってきたんだと。ほんとは自分も帰れるはずなんです。と付け加えていた。
「でも、なぜか戻れないんですよ。女神とだってもう話せないし……」
「なにか原因があるんですかね?」
「それが全然わからなくて……日本に帰ってすぐの頃は戻れたのに」
「なるほど……それは無念ですね」
このタイミングで、「はい! 犯人は目の前にいるおっさんですよー」なんて言えるはずもなく……神妙な顔つきで同情してみた。後ろにいるふたりが笑ってないか心配だ。
「あの、そこでひとつお願いが……」
おっと危ない、少し警戒した感じで何かを話そうとしている。私ではなく、政樹さんを見て言葉を詰まらせていた。普通に考えれば、政府には知られたくない内容ってことなんだろう。彼に続いて私も目配せをする。
「わかりました。我々はいったん席を外します。要件が終わりましたら声をかけてください」
すんなり離れていく室長たち――
(さて……どんなお願いをされるんだか)
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