2020年メモ、ヴァルト(梟)視点

撫でさせた後、森を進む馬車。


その幌の上でのんびりしていたワレだ。


この辺は、ヒトどもの気配が多く小物がたまに飛び出てくるだけだ。

このメンバーの力を見極められん奴など相手するのも面倒だ。


小僧たちが適当にやるだろう。

麗かな陽射しを浴び、馬車の中にいる新顔を観察することにした。


竜小僧がべったりだな。腕の中に囲っている。

若い小僧がやりそうなことだ。


その子供は真面目な様子で

肩に力が入っとるな。慣れない緊張が伝わるようだった。

血の気が多い年齢だろうか。


出ていきたいのを抑えられている。

群のボスの竜小僧に従っている。従順だ。


嘴で子供の唇から魔力を少々もらっている。

封じられているような分かりにくい魔力だ。


魔力の封印の程度が、ヒト族がやれることだろうか?

こんな子供の魔力を封じて何になるのだ。


近づいてじっくり視ればわかる

コヤツ、面白い魔力を持っている!


稀なものだと、ワレの魔力でもっと干渉してみようとしたところで、

竜の小僧に邪魔されるな。


べったり魔力を入れたのだろう。

若いな。


まあ、子供から触られるだけでもわかる。

魔力量は置物小僧より低いが、質は竜小僧並だ。

流れる魔力の渦が、どんな属性をも受け入れる媒体になる。


これはアレらに好かれそうだな。

チラリちらりと魔力に誘われる虫を追い立てた。


コヤツはワレの支配下にある、虫如きがちょっかい出すな!

と威嚇すれば、魔物も避けたようだ。


ハテ?そのつもりはなかったんだがな?。

魔物の脆弱さに呆れつつ

勝手に動く馬どもの歩調を聞いていた。



面白い拾い物だな。

暇つぶしになるだろう予感に退屈が紛れていた。

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