幼馴染に「性欲ってある?」と聞いた結果 増補改訂版
青水
第1話
年頃の男子には性欲がある。
これはもうわかりきった話で、『呼吸をしなければ人間は死ぬ』『栄養を摂らなければ人間は死ぬ』『睡眠をとらなければ人間は死ぬ』くらいの一般常識である。
『人畜無害そう』とよく言われる僕にだって性欲は存在する。友達とはエロい話をよくするし、一番盛り上がるのはそういった下世話な話題だ。
でも、女子はどうなんだろう? 僕はふとそう思った。もちろん、人にもよるだろうけれど――そして、個人差が大きいだろうけれど――、盛りのついた猿のような男子みたいに、女子が性欲に満ち溢れているってことは……まあ、多分ないと思う。
でも、実際のところはわからない。
なぜなら、僕は男子であって女子じゃないのだから。だから、女子の性欲のリアルについてはまったくわからない。
――というわけで、実際に聞いてみた。
「ねえ、薫」
「……ん?」
「性欲ってある?」
すると、薫はきょとんとした顔でこちらを見た。
「……どうしたんだよ、いきなり」
「いや、なんとなく気になってさ」
ベッドに寝転がってマンガを読んでいた薫は、起き上がって正座すると、ぽんぽんとベッドを叩いて、僕に隣に座るように指示した。
意味がわからず、首を傾げる僕。
「……?」
「こっちきなよ」
「え? あ、うん……」
僕は指示通りに、薫の隣に座った。
――瞬間。
「うおりゃっ!」
「うぎゃっ!?」
僕はベッドに押し倒された。
僕は男で薫は女だけど、薫のほうがはるかに大柄で筋力もある。僕は男としてはかなり小柄で、運動も苦手だ。筋肉もあまりない。だから、僕が頑張って抵抗しても、薫に勝てっこない。圧倒的な力の差。
「な、なにっ!? なにすんのさっ!?」
「さっきの質問の答え」
僕の言葉を無視して、薫は淡々と言う。
「私にも性欲はある」
「そ、そっか……そうなんだね……。わかったよ。わかったから、早く離れて――」
「京ちゃんが悪いんだよ。ずっとずっと我慢してたのに、『性欲ある?』なんて変な質問するから、私……私、もう抑えられない」
「え……ちょ、どういうこと――」
「幼馴染とはいえ、女の家にのこのこ上がり込むなんて、京ちゃんも不用心だね。でも、もう遅いよ。私から逃れることはできないよ」
それ、どちらかというと男の僕が言うべきセリフでは? いや、男の僕がそれを言うのはまずいか……って。
「うわっ」
がばっと薫が僕の上に覆いかぶさる。
狂気に支配された笑顔が、僕を戦慄させる。今の薫は肉に飢えた狼で、一方の僕は罠にかかった哀れな子羊。
「というわけで――」
甘い吐息が僕の思考を麻痺させる。
ぺろりと薫が舌なめずり。
「――いただきます」
こうして、僕は幼馴染においしくいただかれたのだった。
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