第14話
「きみが天平先輩の婚約者……?」
こら!
ぼく!
引っ込んでなさい!
突っかからないで!
納得いかないのはわかる。
でもさ!
人を容姿で判断しちゃいかんみたいな話したじゃん!
ついさっき、たこ焼きのくだりで!
(不釣り合いでは?)
それはおれも思ったよ。
思ったけど風車総平もこれで風車宗治の息子だったり持ち家あったりでコネも金もあるし。
もし“組織”がなくなったとしてもやっていけるあてはあるからな。
(ぼくにも尊敬するパパとママがいる。
家督を継いでより事業を拡大しその名を不動のものとしよう)
まあ、この“偽アカシックレコード”の世界ならその選択肢があるのかもしれない。
おれみたいに養父から虐げられていないわけだし。
ぼくはこの通り、“両親”と思い込んで崇拝しているから。
ひょっとしたら実子ってことに改変されているのかも。
寒気がしてきた。
これだけ外見が違うからその辺のパーソナルデータがおかしくなっている可能性はあるな。
遺伝子検査しとく?
ぼくとあの男と。
血縁的な関係があるのかどうかを。
「なんかあかんの?」
あ。
天平先輩が戻ってきた。
「毎回疑われるから、よっぽど幸雄くん的には“なし”なんだろうなぁ……地味にへこむよ」
その、『これまで』とか『毎回』とかって何?
なんか知ってるなこの人。
このアカシックレコードの“小さな世界”のことを。
「なんでやろな」
座っている総平を背中から抱き締める天平先輩。
場所を変わってほしい。
「なんですか? おれに見せつけに来たんですか?」
先ほどぼくに『突っかかるな』と言ったのに“もう1人”のぼくも噛みついていくとは。
ぼくと風車総平、芯の部分では相性が悪いのでは?
はっ。
いけないいけない。
今のおれならセフレの1人や2人余裕で作れるんでした。
これぐらいで僻んじゃあかんよな。
目指せ酒池肉林。
(やめてくれ)
なんでさ!
ぼくの性癖が歪み過ぎている気がして怖いよおれは。
男としては正常じゃん。
何がお前をそうさせてるの?
その“文ちゃん”への想いが強すぎて拗らせてるにしては拗らせ過ぎてない?
性格的になさそうではあるけど、なんか女絡みの大事故起こしたとか?
「総平は“もう1人”のぼくに逢いにここまで来たのでは?」
強引に話を戻しにきたな。
ぼく。
おれは未来はわかるけど過去はある程度までしかわからん。
そこが作倉さんとの違いだなー。
アカシックレコードでは11月に初対面だったのに今……。
ちょっと待て。
やっぱりおかしい。
総平もこの世界で起こる出来事を知っている?
(なぜ?)
わからん!
総平もフィクションの住人のはず……?
もしかしておれと同じく転生してきたお仲間?
いや。
ただ転生してきただけで未来の知識があるわけがないんだよな。
おれは転生する前にアカシックレコードを手に入れてそれを読んだから知っている。
「単刀直入に言おう。幸雄くんには協力してほしい。この世界を救うためにね」
【Conspire】
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