隠れステータス【性格】
鬼頭星之衛
第一部 地上の星々
第0話 プロローグ【自己紹介】
床と思わしき物は
その人物は白を基調にした赤い刺繍が入ったローブを着ており、フードを
そして、その人物は
「ようこそ、いらっしゃいました。『イル・サンサーナ』の世界へ。まずは、自己紹介させて頂きます。私はこの世界を作った創造神で御座います」
その人物は『イル・サンサーナ』という世界を作った創造神だと名乗った。つまり、神である。人が決して知覚することがない存在である。
「私には名や、性別は御座いません。今のこの姿形も仮の物で御座います。ですが、
実際の所、目の前の存在は知覚出来ているようであって、出来ていないに等しい。イルが話を続ける。
「この度貴方達にお越しいただきましたのは他でもありません。私と一緒にこの『イル・サンサーナ』の世界を見物して頂こうと思ったからです」
「その為、事前にある程度『イル・サンサーナ』の世界の常識や知識を共有したいと思います」
イルが説明する。
この『イル・サンサーナ』という世界は複数の大陸があり、それぞれの大陸には大小様々な人間が
しかし、人間以外にも人外の生物が街や村の外に生息している。そして、その人外の多くの生物は『魔物』と呼ばれ、人間と敵対関係にある。人間は魔物と比べひ弱で簡単に滅ぼされてしまう。
「そこで私は人間に職業という加護を与える事に致しました」
イルが説明を続ける。
人間がある一定の年齢に達した時、地上にあるいくつかのイル・サンサーナ神殿にて、加護の儀式を
「しかし、主に4つの職業が重要視されています。それが、『戦士』、『魔法使い』、『スカウト』、そして、『
イルは人間に脅威である魔物に対抗する為に加護を授けたのだから、戦闘職が重要視されるのは当然であった。
「全てを説明すると時間が足りませんので、最後に1つだけ重要な事を申し上げます。それは隠れステータス【性格】です」
イルはさらに説明を続ける。
先ほどの職業の加護を人々が受けると同時に隠れステータス【性格】なるモノも一緒に付与される。イル・サンサーナ神殿の神父もしくは聖女には加護を受けた人達の職業を判別することが出来る。故に、人々は自身の職業が何であるかを知ることが出来る。しかし、隠れステータス【性格】は存在自体人々には知られておらず、そこにいるイル以外知る者はいない。
「人々には実に面白い個性、
人々が自身の正確な【性格】に左右されず自由に生きてほしいとイルが望んだからこのような方法になった。それに、もし正確な【性格】を知ってしまったら、それに囚われて生きてしまうであろう人々にイルは興味が沸かなかった。
そして、この隠れステータス【性格】は簡単には分類化も出来ない。例えば同じ職業加護、同じ隠れステータス【性格】の者達が居たとしよう。果たして彼らは同じ運命を辿るかと言えばそうではない。生まれ育った環境、性別の差、身体的特徴の差、生まれ持った時の元の【性格】の差。様々な要素が加味され、その人が形成される。故に、隠れステータス【性格】もその一味に過ぎない。ただ、創造神の加護なので人々に与える影響力はそれなりに大きい。
「その為、私も人々がどういった行動を取るのか楽しみなのです。1つの小さな違いから、その後の運命を大きく変えることも御座います。まぁ、そんな人ばかりではないでしょうけど‥‥‥‥」
イルから少し落胆した雰囲気が
「話が少し長くなってしまったかもしれませんね。私の話は理解出来ましたか?全て理解出来ずとも、私と一緒に『イル・サンサーナ』の世界を見学すればすぐに理解を深めることが出来るでしょう。では早速、見ていきましょう。人々の物語を」
イルが静かに、しかし、力強く言葉を述べ終えると、
一体『イル・サンサーナ』という世界はどういった所なのか? どのような人々が暮しているのか? 敵対している魔物とはどういった存在なのか? 見た目は? 匂いは? さらに、職業の加護を受けた影響は? そして、隠れステータス【性格】が世界へ与える影響とは?
様々な疑問が流星の如く、流れては消え、流れては消えを繰り返す。ならば、百聞は一見に
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