僕らの宝箱。

夕日ゆうや

第1話 レビューされるラブコメ!

「今度はどんな作品を考えているんだ?」

「〝レビューされるラブコメ〟ってのを考えている」

 思案顔で顎を撫でる俺。

「またありそうなものを書いたな」

 友人は目を細める。

「いや、そうでもない」

「そうかい? なら内容を教えてもらおうか」

「いいだろう。……壁ドンをヒロインにして、それを一般ユーザーがレビュー」

「評価されるわけか。高得点がつくんだな」

 得心いったという友人は笑む。

「違う。壁ドンは恐怖を与えるとレビューが批判し、しかし実はヒロインは喜ぶ……というものだ」

「なるほど」

 目をパチパチさせ、にやりと笑う友人。

「つまり、現実リアルと理想が違うわけだ。そしてヒロインの感性も」

「そうだ。この作品の肝はそこにある」

「じゃあ、例えば告白の仕方にも差異があるのか?」

「そうなるな。『俺はお前が好き』と言うと『シンプルすぎてつまらない』とレビューされるとか」

 俺は考えながらしゃべる。

「それは面白いかもな」

「だろ?」

 得意げに笑みを浮かべる俺。

「だが、実行していない。なぜだ?」

「これはアイデア数が少ないのと、他の小説を書くので必死だからだ」

「はは。書くのはいつになるか分からないというわけだ」

 首肯する俺。

「そうなるな」

「じゃあ気長に待つとしよう」


※※※


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