Take45 ノート

夕方

お腹が空いた

ベッドの上で

部屋を出るか迷う


そんな事でゴロゴロ

病人と言えるのかわからない

この状態

その正体は……?


コンコン

ドアが開いた

蒼温だった

あっ、もうそんな時間か


蒼温はノートを出して

「今日の書いといたから」

そう言って机に置いた

僕のノートを持って行ってたんだ


しかも僕のクラスの人のノートを

見せてもらって

書き込んだって事だ

これだから頭が上がらない


「ありがと」

って声をふさぐかのように

蒼温の手が

おでこに


「もう良さそうだね」

蒼温は窓辺で背伸びをした

その背中は僕の知ってる背中だろうか


「迷惑かけてごめん」

その背中に語りかける

「別に倒れたくらい」

その背中は動かず

「違う、彼女の事」

その背中に詫びる

「それも別にいいって」

その背中が少し遠のいたような

「みんなが茶化してたら俺のせいだから」

その背中を追いかける

「陸は気にしなくていい。また倒れる」

その背中に追いつかない

「もう倒れたりしないけど、やっぱり……」

その背中が見えなくなる




ぎゅ




背中が見えなくなったんだ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る