第56話
「すっご！ゴールドエリアって汚いだけかと思ったけど、なかなか面白そう！」
「リリアちゃん……待って……」
場所は変わり、ゴールドエリアに来た俺達だがリリアは珍しいのかあちらこちらで走り回っていた。
「ゴールドエリアが珍しいのか？」
「はい……ゴールドクラスにはほとんどいませんでしたから……」
「それに優しいし！」
両手いっぱいのお菓子やらデザートやら食べ物だらけだ。
「それ金払ったんだろうな？」
「リリアは神白金クラス、そんなの必要ないし」
「いや、神銀クラスだろ」
「うっ……シア！お金払っておいて！」
「わかりました、でも誰から貰ったか教えてくれますか？そうじゃないと払えませんから。すみません、少しだけ別行動をさせて貰います」
手を繋ぎ仲良く歩く姿はまるで姉妹だ。
「リリアが言う事聞いてる……」
「シアは子供に好かれるのかもな」
「え？どうして？」
「そりゃ……優しいからだろ」
「えー！それって私が優しくないってことかな！？」
「ノーフィさんは優しいです……私は知ってます……」
「ありがと！じゃあショウ君は放っておいて私達だけで遊びに行こ！」
まさか
1人になってしまった。
まぁ都合がいい。
グーシュヴァンドに勝つため、そのスキルの秘密を知っている奴、褐色幼女なら何か知っているかもしれない。
あれだけ目立つグリフォンに乗っているんだ、誰かが見ていてもおかしくない。
「少し聞いてもいいか？」
「はい……？えっ、カミナ様！？」
「そこまでかしこまらなくていいって、それよりグリフォンを見なかったか？」
「いえ、見たことは一度も……すみません」
「わかった、ありがとう」
「あの！今暇ですか？もし何も無ければ一緒に……」
『無理』
『どっか行って』
「……そうですか、すみません」
言ったのは俺ではない。
「ラピス、コーラル、勝手に話すなって」
先程から感じる視線、神白金クラスに上がったことが知れ渡っていたらしい。
とは言え利用しない手はない。
グリフォンについての情報をしらみ潰しに聞いて行く。
ラピスとコーラルにも手伝ってもらい調べたのだが……
「見つからないか」
誰か1人くらい見ていてもおかしくないんだけどな……
「マスター、知ってそうな人みつけた」
「本当か！？どこにいる！？」
コーラルについて行く。
シルバーエリア、そしてブロンズエリア。
その端の端は辺り一帯が獣臭い。
「みんなぁー！待ってよぉー！！」
ダチョウの様な動物、いや魔物を追いかけるのはオーバーオールを着た女子生徒。
あ、こけた。
「うぅ……酷いよ……あれ？あなたは……？」
「取り込み中だったか？ちょっと聞きたいことが……ん？お前……」
「あ！あの時はお世話になりましたー！この子達が待っていたのでろくにお礼も言えず申し訳なかったです」
「ああ、あの時の」
確か、ブロンズクラスで助けた女子生徒だ。
身体と顔は泥やよくわからない汚れでまみれ、よく見てみないとわからない。
「大丈夫だ、それよりも聞きたいことがあるんだが」
「私にですか？私なんかが教えられる事なんて無いと思い……きゃぁっ！？こら！私の胸に射精しても子供は出来ないんだよっ！？」
ゴブリンが女子生徒の胸の谷間に向けて腰を振っている。
「心配するな、発情猿は消してやる」
「あ！ダメですダメ！この子も私が面倒みている子なんだから！」
「……面倒見てる？」
「ごめんなさい、自己紹介が遅れたました！私はヘレンローザ・レナケウスって言います、スキルは
「名前、今なんて言った？」
「ヘレンローザです、気軽にヘレンって呼んで下さいね」
「違う！その下の名前だ！」
「え？レナケウスですけど……あ、もしかして妹をご存知ですか？」
……思いがけず見つけた。
グーシュヴァンドの力、その手がかりになる人物を。
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