第35話 シア視点

「行きます、ショウ様!」


 私が放った神速の刺突、それを放った私自身は目で追うことが出来ませんでした。


 ……マリの力は凄いです。


 私が一生かけても絶対に放つことの出来ない一撃を『わかったよ、シアの為だからね』と簡単にやってのけてしまうのですから。


 ……悔しい。

 ショウ様に大きな口を叩いておきながら、実は私自身の力では無い。


 でも……今はそれでいいと思ってもいました。

 ショウ様に見合う女性になる為に手段は選んでいられないのだから。


「きゃぁぁぁあ!?」


 え?今のはノーフィさんの悲鳴?


 でも何故?今残っているのは他にはショウ様だけ、でもショウ様は私の目の前に……


「……いない?何故!?」


 考え事をしていたけれど、ショウ様から目を離したつもりはありませんでした。


 急いでノーフィさんの元に戻るとそこにはいたのは案の定、ショウ様がいました。


 でも、何か様子が変です。

 いえ、様子がというよりも見た目が変わっています。


 深緑色の髪は所々濃い桃色に染められていますし、瞳も左右でグリーンとピンク。

 ですが、それ以外はショウ様そのもの。


「ショウ君ダメ、み、みんな見てるから!」


「ひぃっ!どこ触ってるのよ!」


「マスターの命令」


 の、ノーフィさんがショウ様に襲われてほぼ裸に!?

 それにヒスイさんもラピスさんとコーラルさんに捕まって胸を揉まれています、一体何があったのでしょうか!?


「心配するな、もう勝負は決まっているからな誰にも見られる事はない」


 勝負が決まった?ですが金の校章はここに……


「……無くなってます」


 全く気づきませんでした……マリも気づかなかった様です。

 ショウ様が魔罪武器無しにそんなことが出来るなんて知りませんでした。


「気づかなかったのか、襲おうとした時に軽く小突いただけだったから仕方ないが……それよりも見学しに来たのか?」


「あ、いえそのノーフィさんの悲鳴を聞いて……」


「子供が欲しかった訳じゃないのか?ならそこで見ていろ、ノーフィと子作りする所をな」


「はえっ!?確かにショウ君の子供は欲しいって言ったけどそれはお嫁さんになってからで……でもショウ君がしたいって言うなら……いやでもやっぱり……」


「はっきりしないな……ならシア、裸になれ」


「えっ!?い、今何と言ったのですか!?」


「裸だよ裸、全裸でそこに四つん這いになれって言ったんだ。シアも俺の子供が欲しいだろ?当然だよな、子供だからな」


 ……やっぱりおかしいです!


 確かにショウ様はエッチな方でしたがこんな無理矢理な事を命令する様な人ではありません!


「おい貴様!僕のシアに何を命令してる、貴様いつもと違うようだが本物なのか?」


 

 そうです!マリの言う通りです!

 きっと目の前のショウ様は何かに操られているに違いありません!


「何だ?俺様の子供が欲しい素直にそう言えば良いだろう?」


「きっ、貴様!僕を馬鹿に、うむぅ!?」


 ……あれ?

 ……おかしいですね。


 今、私の瞳にはマリとショウ様が接吻をしているのか映しだされています。


 マリはもがいて逃げようとしていますが、徐々にその顔が赤く染まって……あ、座り込んでしまいました。


「きひゃま……なにをひぃた……」


「ただのキスだ。さて、邪魔もいなくなったし、それじゃあ1番の上物を頂くとするか」


 よくわからないまま、ショウ様が私の服を破り去って行きます。


 ……このまま私は処女を失ってしまうのでしょうか?

 でも、相手がショウ様ならむしろ喜ぶべきこと。


 だから、この手を私も握り返して……


「何で、泣いてるんだ?」


 ……私が、泣いている?


 そんな訳がありません、だって大好きなショウ様と一緒になれるのですから。


 でも、言われた通り確かに私の瞳からは涙が流れていました。


 ……そうか、わかりました。


 私が好きなのは、


「……シア?」


「ショウ様!?私がわかりますか?シアです!!」


「シア……がっ、ぐぅぅ!?」


「ショウ様!?」


 ショウ様は突然暴れだすと、すぐ倒れ意識を失ってしまいました!?


 何が起きているのかよくわかりません。


 ですが、今はとにかく医務室に連れて行きましょう!













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