(二)-6

「そうです」

「日本では解雇規制が強くて、従業員をすぐにはクビにはできないと言われています。でもあなたは派遣会社に雇われていたにもかかわらず、『派遣先がない』という理由で解雇されたわけですね」

「はい。派遣だからなんだと思います。勤め先の■■通信では社員さんたちは一人もクビになったとは聞きませんでしたし」

 なるほど。彼女の場合、常用型派遣ではなく、登録型派遣だ。派遣先があるときのみ派遣会社と雇用契約が発生するタイプの契約だ。リーマンショックの際にも、いわゆる「派遣切り」と呼ばれる行為が行われ、この登録型派遣で働いていた人たちが失業し、社会問題となった。

「それで、その後はどうしたの?」

 ナオミは千代に話の続きを促した。


(続く)

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