僕の杖

@kanzakiyato

僕の杖

きみはさ、もし大切たいせつな人がいたとして、

 そのひとにとって自分じぶんなにでありたいってかんがえる?」


油断ゆだんすると質問しつもんするぼくわるくせ


『うーん、そうだね...。』


そして、いつもきずにこたえてくれるきみ


『じゃあ、たとえば、もし自分じぶん盲目もうもくだったとして、

 なにがないときていけない?』

「...おととかまわりのひと?」

『それも大事だいじだけど、ほかには?』

触感しょっかん感覚かんかく...あ、つえ?」

『そう。盲目もうもくかたにとってのつえ存在そんざいでいたいな。わたしは。』

「それは、自分じぶんがいないとそのひときていけないから?」

『ううん。自分じぶんがいないときていけないくらい

 そのひと人生じんせいささえになれてることがうれしい。』

「ふふっ。そっか。じゃあ、やっとつけた。」

『んー?なにを?』


きみひとみつめる。


『ちょっと、なに?』


すこかおあからめたきみう。

そしてぼくきみう。


ぼくにとっての大事だいじつえ。」


きみまなたびまわりが盲目もうもくになっていくんだ。

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