今日は、ゲームをしていくぞ。【MML】ヴァイサー・ザリウス
初配信から数日が経ち、我もそれなりに配信に慣れてきた。
そして、今日は我がチャンネルで初めてのゲーム実況の回にしようと思っている。
ゲームをやろうとは思うのだが問題は何のゲームをするかなんだよなぁ……。
我がそんな風に悩んでいるときであった。
ピコっ。
ライバー間でよく使われるディスコと呼ばれるアプリの通知音が響いた。
───────────────
【フィナ】
ヴァイサー今日コラボしない?確か今日ゲームするって言ってたよね
ボクがキャリーしてあげるよ~?
【ヴァイサー・ザリウス】
丁度何をするか悩んでいたところであったから助かるぞ!!
───────────────
こうしてフィナとのコラボが決まったのであった。
慣れてきた配信の準備をして、配信をスタートさせる。
『今日は、ゲームをしていくぞ。【MML】ヴァイサー・ザリウスwithフィナ先輩』
:こん悪魔~
:こんちゃー
:まさかの突発コラボw
:そして、コラボ相手がフィナ嬢か
:予想外の組み合わせやな
「よぉ、下僕ども!今日も元気に魂集めてくぞー。
そして、今日は初コラボ!はいーフィナ先輩どうぞー」
唐突に決まったコラボ配信はリスナーのみんなにかなりの衝撃を与えたみたいだが、概ね好評のようである。
まぁ、毎度の如くアンチコメントも散見されるのだが。
「こんばんは、みんな。後輩とゲームも悪くない、フィナです」
いや、こりゃいつもよりアンチコメ多いわ。
まぁ、人気の女性陣とのコラボだからな。
それにしても、フィナチャットの時と話し方違うくないか?
「フィナ先輩、ディスコの時と口調違いますよね」
「うるさい。あと、ヴァイサーに敬語使われるのむず痒いし、先輩もいらない」
俺の画面上に映ったフィナは俺に敬語やら先輩呼びをされたことやらで少し顔が赤くなっている。
可愛い奴だ。
:照れフィナ嬢助かる
:照れフィナ助かる
:お?てぇてぇか?
「じゃ、お言葉に甘えるとするか。
んで、フィナ、今日は何やるんだ?」
やるゲームは配信の時に知らせると言われたから俺もまだ何かは知らないのだ。
「ヴァイサー、フィシュラしよ?」
「フィシュラ……!
おぉ、いいねぇ!!」
フィシュラトゥーン。
これは、魚類が進化し、人の姿となったキャラクターを操作し、各々のモードのルールに則って勝利を目指すゲームだ。
人間界での様々なものを模した『ブキ』を用いてインクを相手に打ち込む最近流行りのバトルシューティングゲームで、俺たちは好んでこのゲームをやっていた。
:フィシュラキターー!!
:3になってキャラコン増えたから難しいんよなぁ
:フィナのプレイは見たことあるけど悪魔のは見たことないから楽しみよな
:二人でやったことあんのか?
「んで、今のガチルールってなんだっけ?」
ガチルール。
フィシュラには主にレギュラー、ガチ、プライベートのマッチがあり、レギュラーはインクを塗りあい、最終的に塗られている面積が多いチームが勝つ、陣取り戦。
ガチは、ヤグラ、エリア、ホコ、アサリの4つのルールがローテーションで割り当てられており、それぞれのルールでカウントを進めあい、より多くのカウントを進めた方が勝ちとなる。
プライベートは、フレンドで部屋を立て、レギュラーやガチのルールで自由に戦うフリーマッチ。
この中で特にやっているのがガチマッチであり、俺とフィナはお互いに最高レート帯である『X』に到達している。
「ん、確かアサリだったはず」
「アサリかぁ……苦手なんだよなぁ」
俺的には外れを引いてしまったようだ。
アサリ……一気にカウントが進む爽快感はいいのだが、なんせやることが多いんだよなぁ。
「どうする?やる?」
「まぁ、苦手とは言えどやるぞ」
そして、俺たちは集合部屋を立て、合流し、マッチングを開始した。
すぐにマッチし、試合が始まる。
「えーと編成は……スシ、赤スパ、ホット、リッター。
相手はロング、シャーカー、キャンプ、リッターか」
ちなみに、俺が赤スパ、フィナがリッターだ。
:悪魔は赤スパか
:まぁ、後衛タイプではなさそうやしな
:フィナ嬢のリッターきちゃー
:相手の編成きめぇな……
:基本射程とキル速負けしてるんよな
「相手リッターは落とす。キャンプは捲るから任せる」
頼もしいこった。
まぁ、実際フィナのエイムはヤバいからな。
「ここビーコン置いておくぞ」
「助かる」
「右シャーカーワンチャン裏狙ってるかもな」
「大丈夫見えてる」
「アサリはあと一個で貯まるが……どうする」
「じゃあ、ボク、前出て深めにキル取るね」
「オーケー。じゃ、手前の傘に手出すから、捲ってくれ……サンキュー」
「よし!味方のホットが二枚落とした詰めるぞ」
「了解」
:連携やべー
:悪魔の立ち回りとエイムもヤバいけど、全体の状況把握してるフィナ嬢やべぇ
:フィナちゃん見えすぎじゃね?
:周り見ててもしっかり相手リッター止めてるの凄いな
俺はアサリを8個集め、『デカアサリ』を作り、前へ詰める。
そして手前にはしっかりとビーコンを置き、スペシャルも置いた。
赤スパのスペシャルは、一定時間移動を早くし、復活時間を短縮する効果を持つドリンクを配布する、ドリンクスタンドを設置するというもの。
そのドリンクを飲み、敵陣へ足を踏み入れ、デカアサリを相手ゴールに叩き入れる。
俺に続くように味方が次々にゴールへとアサリを投げ込む。
が、復活してきた相手のロングに重なっていた味方2人が一気に落とされ、攻めのターンは終わってしまった。
進んで残りカウントは62。
そこにペナルティカウントが+19。
「一回帰るわ」
「ボクも」
:なかなか進められたんじゃね?
:アサリならここから一気にひっくり返せるからなぁ
:ロングきめぇなーマジで
:二人がXだからか、敵味方とレベル高いな
:立ち回りが綺麗やんね
俺たちは予め設置していた、自陣寄りのビーコンへとワープする。
そこで、味方2人が全線復帰するまでの時間を稼ぐ─────つもりだった。
「ヴァイサー!!後ろ!!」
コントローラーを全力で後ろへ回転させ、後方へと視点を向ける。
「お前、来る場所違ェだろッ────!!」
復活後、攻められている自陣ではなく、敵陣へと回り込み、後ろからキルを狙う、所謂『裏取り』をしていた敵のシャーカーに俺はフィナに言われるまで気付かず、あっけなくやられてしまう。
「すまん!フィナ!」
「うん、大丈夫……ッ!やばい」
すかさず俺のカバーに入り、敵のシャーカーを打ち抜いたフィナ。
しかし、キルされる直前にシャーカーは俺がキルされ、落としたアサリを拾い、デカアサリを投げ込んでいた。
そして……フィナはシャーカーをキルした時には既に、前線に追いついた相手のロングの射程内に入ってしまっていた。
パキンッ!!
直撃───一撃確殺の攻撃を貰い、フィナが落ちる。
「ちょっと前目に戻りすぎたか」
「いや、ヴァイサーの判断はよかった。ボクも同じ判断。
でも、シャーカーを見落としてたのが痛かった」
「しかもシャーカーもロングもデスぺナかよ」
デスぺナ……デスペナルティ。
これは自身がキルされた時にリスクを負うが、同時に相手をキルした時には相手に復活時間延長と、スペシャル減少量を増やす効果を付与するもの。
これにより、復活時間が伸びた俺たちはなかなか前線に戻ることが出来ない。
そして、復活するころには、ロングにデカアサリをもう一つ入れられ、他のメンバーに続々とアサリを投げ込まれていた。
:この流れマズくね?
:嫌なパターンやなー
:この流れで何回負けてきたか
:マジでこれ萎えるw
:さっきもシャーカー裏取りしようとしてたけどここでするとはな
「味方焦るんじゃねぇぞ……」
そう願いつつも前線に復帰する。
カウントは大きく進み、残り13。
思ったより進んでるな……。
リッターにカウンターアサリ入れられたのはキツイな。
アサリを持って突っ込んできたシャーカーを冷静に対処する。
後は……リッターとキャンプだけ。
俺はキャンプへと攻撃するが、開いた傘に球が阻まれ通すことが出来ない。
その間にも傘の裏からアサリを投げ込まれている。
ポコン
残りカウント7
傘を攻撃し続けるが、あと二割残っている。
ポコン
残りカウント4
リッターを仕留め、傘への特効を持つフィナが攻撃し、傘が割れ、本体への攻撃に成功。
ポコン
残りカウント1
──が、キルする直前にもう一つを入れられてしまう。
WIPE OUT!!
敵チーム全員を一斉にキルし終え、やっと敵チームの攻めが終了する。
:あぶねぇぇwww
:もうこれは心折れる奴やんw
:俺なら味方責めてるわ
:台パン不可避
:二人とも冷静やな
さて、ここからどうしようか─────
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます