第5話 動き出したワニの彫像

「ここ・・ナイルの箱庭のワニの彫像に触れてごらんよ」

「え?」「そっとだよ・・」


「ただし 左手の一指し指で そっとだよ」

「じゃないと ワニが目を覚まして 君を食べられちゃうかもね」従兄は笑う


言葉につられて、しゃがみこみ

言われた通り 左手の一指し指でそっとワニの尻尾に触れてみた


「気を付けてアンテイノーみたいに食べられないように・・ふふ」彼の奇妙な笑み

まるで 道化師が悪戯をたくらむ 笑顔みたいに


「え!」と驚き 従兄の方へ振り返った瞬間


グオオオ・・という低いうなり声

白いワニの彫像が 命を得たように動きだして大きな口を開けて、こちらを見ている


従兄は言う「アンテイノーみたいに 神になるかい?」


蒼白な表情で僕は従兄を見る


「神殿を建ててあげるね・・

でもワニに食べられて生贄にならないといけないよね」

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