第2話 アンテイオキアの彫像

「この近くにハドリアヌス帝の別荘跡地があるよ、遊びに行こうか」


歳上の従兄弟に誘われ、行ったのは…広々とした遺跡の跡地…


円形のドーム型の泉やら建物の跡、


そして緑の野原で見かける数多くの彫像…まだ年若い青年像アンテオキア


エジプトにも似た名前の都市がある…


彼の名前から取ったものだと言う

この遺跡のテイボリとは縁が深いハドリアヌス帝とアンテオキア


従兄弟は、僕の顔をしみじみと覗き込み、呟いた…


「そう言えば、似てるよね」

「誰に?」


「君が この彫像のアンテオキアに似てる

ギリシャ系で情感的で綺麗な顔立ち…柔らかな髪の毛とか…ふふ」


愉しげに笑う従兄弟


「このテイボリは彼の別荘跡地…あ!見てごらん」


従兄弟の彼が指さすのは

長方形の池 周りに白い彫像や柱の後がある…


それからワニの彫像


そこはナイル川のイメージで創られたもの


…ナイルの箱庭さ‥‥


「アンテオキアはエジプトの

ナイル川で溺れてワニに食べられたんだよ、


本当かどうか…分からないけど…


古代エジプトの人達は

ワニに食べられた人は神になるらしいって信じたって


ハドリアヌス帝は 嘆き悲しんで 


それから 愛する人へのモニュメントを沢山 作ったんだ


エジプトに神殿を作り それから・・


新しい都市に 愛するアンテイキアの名を付けて

それでも まだ哀しくて


この巨大な別荘・・彼が廻った都市の箱庭にも 

沢山 彫像を置いたのさ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る