トリムルティ(夏イベ)

ある河川敷

そこにはたくさんの人が賑やかで騒がしくしている。

ほぼ人の間には隙間があまりなく、ギュギュッと詰めている感じの状態になっている。

その原因は、これから行われるイベントにある。

その詰め詰め状態の人混みの中になぜかある一箇所だけ...他の人と少しスペースが空いている。

まるでそこだけがわざと空けられたかのようなそのスペースには人...男性が三人立っている。

三人が揃って浴衣を着ていて、人混みに詰まられず...流されることもなくただそこで立っている。


「暑い...」とその中の一人が文句みたいに言い始めた。

「ふっ!こんな暑さぐらいで文句を言うには全然ダメだね...壊三かいぞうは!」

維二郎いじろう兄はどんなときでも清々しい顔ができるところはうらやましいよ。」

「人間のこの暑い季節だからこそ、涼しむものを求めるのよ。壊三はもっと人間のことを勉強する必要がありそうだね...特にこの国ではこうして浴衣を着て、納涼を楽しむのは定番だぞ!」

「それなら、エアコンがあるところが良くない?涼しさ確定だよ...あと、人がいっぱいいるのは苦手だ......」

「壊三...それは良くないことだ。ここにいる人間は特に罪がない...ただ集まるだけであって、決して悪巧みなどをしてない...一部を除いてな。」とさっきまで黙っていた男性は二人の会話に割り込んだ。

造一ぞういち兄さんこそ...その手にあるのは何だ?」

「ん?これか?最近の人間ではうちわじゃなくて、電動で動いてくれるハンディファンが流行しているらしいから、さっき造った。」

「ワオ!さすが創造神様!流行に乗っているとはちょっと以外だけどな!どれどれ?」と言った男性は別の男性が手に持っているハンディファンを勝手に奪って、出た風を自分に向けた。

「案外涼しいね、これ...」

「維二郎兄だけズルい...僕にも...」

「ふっ!お前は私のオシャレアイテム、この扇子を授けよう...これで十分だろう!」

「...ケチ」

「仕方ない...ほら、壊三...全員分造った。これを使え。」とどこかから取り出したか分からないハンディファンを不満そうな顔をしている男性に渡した。

「私は遠慮するぞ!この...シャレオツの扇子だけで十分さ!」

「あ、そう...」と言った男性は余ったハンディファンを突然手からもともとなかったかのように消えた。

そこで、ハンディファンを手に入れた男性は少し楽な表情になりながら、こう言い始めた。

「そう言えば、この国ではお盆という人間の先祖を敬う習慣がちょうどこの時期あたりにあったね。なんだっけ...キュウリとかナスを馬みたいに工作して、魂を乗せるとか...やっているって。」

「他の国も似ている習慣がある。お墓参りとかもそうだ。亡くなった者に思いを馳せるというところは世界で共通だ。」

「ふっ!魂が戻ってくるらしいとか...輪廻転生サンサーラでいつか巡り逢うと知らずにね...とんだめでたい者たちだ!」

「あ、あと今日のテレビのニュースで見たけど...人間界ではなんか大きな戦...人間の世界全体が巻き込まれた大戦が終わった日もこの時期らしいよ。うん...いつだっけ...何十年前?覚えていない...」と男性は怠そうに別の話題を出した。

「人間の争い事には興味がないね...」

「造一兄さんは造る側だからそんなことが言えるんだよ...こっち側の身になってみろ!」

「急に突っかかるな...維二郎...何が言いたげな顔だぞ。」

「争い事は終わらない...人間は私たちが存在する数多の時を得ても全く学習もしない...結局同じことを繰り返す...ただ場所と規模が違うだけだ!本当に面倒で面倒で...」と言った男性はため息をして、

「本当に人間は愚かな生き物だなと...毎回毎回思い知らされるよ...参ったな...」と呆れた顔をした。

「私も同感だ。でも、敢えて言おう...愚かな生き物でも、その者たちを守るのも私たちの務めの一つだ...」

「そう!神々の仕事だ!」といきなりさっき呆れた顔が歓喜の顔に変わって、叫んだ。

「実際...人間がいなければ、私たちはこんなことをすることもできないからね。まあ...意味の無いことだけど...いつか終わりが訪れるとみんなが内心で分かっていたのに...」と怠そうな顔をした男性が会話に加えた。

「それはそうだが...例え人間の命は儚く...すぐに咲きそして散る...まるで...」とハンディファンを手にしている男性が言ったそのとき、川の向こう側から大きな音が轟いた。

それは...空に打ち上げられて、そのまま爆発した音と共に一瞬灯す眩しい光...【花火】だった。

男性たちの会話はしばらく止まっていて、他の人たちもその花火を見上げていた。

「こんな綺麗なものも造れるのに...恐ろしいものも造れるとは...創造神として褒めたい半分...哀れだなと言いたい半分だ。」と男性が少し悲しそうな顔をしながら、花火を眺めている。

最後の花火が打ち上げられ、綺麗に咲き誇った後、

人たちが帰る準備をしたりまた談笑したりしながら、その場から立ち去ろうとしている。


「ところで...今の状況はどうなっているの?」と突然男性の一人が言い出した。

「まあ...ぼちぼち進んでいるとしか言えないよ、造一兄さん。」

「ふっ!こちらとしては中々いい進展があったぞ!」

「維二郎...お前の方は何か余計なことをしていないよな。」

「造一兄さんは心配性だな...私は何もしなくたって...その者たちが勝手に動くよ...ただそーっと背中を押しただけだ。」

「まあ...良い...とりあえず物事が想定外の方向に進まないようにお前が監視しろ...維持神。」

「言われなくてもそうするさ...まあ、想定外というものはないけどな...全てはことわりのままに動くだけさ!」と豪語した男性を見て、もう1人の男性はさっきまで花火が上がっていた夜空を見て、怠そうにこう言った。

「まずは今を楽しみましょう...二度と訪れないかもしれないこの平和を...」

「私たち神々とは関係ないけどな!ははははは!」と大きな笑い声を残して、その場からその浴衣姿の男性三人が...消えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る