羅刹羅闍の追憶~愛~

初めて其方の姿を見た刹那


余は...

あれは「一目惚れ」と呼ばれる感情だと...余は理解できなかった。


これは愛...?

親...愛...?


余は異性に対する...さらに人間に対する感情を抱いては許されるだろうか...

羅刹ラクシャーサ、そしてラージャとしての余にとっては今まで人間も他の種族との戦いで幾つもの勝利を手に入れ、覇者として名を掲げられ、戦利品として燦々他者の女を奪い取り、自分の女にしてきた。

抵抗できずに余の物になった彼女たちを自分の物にすることには【愛】と呼ぶ感情にはあまりにも不要だった。


その彼女たちを見る度に...あまりにも無力な存在だと見下し、憐れみさえもそのような感情なんて一度もなかった。


しかし、その刹那とは全く違かった。


余の心の中に湧いてきたのはという違和感だった。


愛おしい...

この感情は【愛】だと言うべきか...


例えそれは許されない愛だとしても...

...

...

...?

許されない?


何者に?


この余が?


何者の許しで誰かを愛すること?

...

...

...

頭の中の答えが見つからずに沈黙が続いた。


分からない...


余の中の記憶の破片はまだうまく嚙み合っていないせいか...


その答えを分かるには今じゃない。


しかし、やはりぼやける曖昧さの中に確かな気持ちはある...


それは【確信】と呼んでもよかろう...



何から守るのか...それが分からなくても


なんとしても...


例え、我が王国、ランカーの全てを犠牲にしても...


余は其方を愛し、


例え、この愛は罪だと言われても...


例え、この愛は許されないものだとしても...


例え、永遠に其方と結ばれないとしても...


其方への愛は永遠に続けると余はこの身が滅んでも誓う。


愛する我が君よ...其方は今どこにいるだろう...


其方には...


もう一度...



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