生まれて・生きて・死ぬ
さくら
第1話
どこかで子どもの声が聞こえる。私もいつかは子どもだった。そしていつかはおばあちゃんになって、死んじゃう。なんのために生まれて、なんのために生きて、なんのために死ぬんだろう。いつもふっとこんな状態になる。きっかけもばらばらだ。怖いわけじゃない。さーって何かが自分から抜けて行って、急に世界がはっきりと見えてくる。聞こえてくる。風は見えない。けど私をつつんでくれる。木の葉と一緒に私に話しかけてくれる。空はずーっと私の声を聴いてくれる。怖くない。さみしくもない。私が生まれる前も死んだ後もこんな感じなんだろう。私に関係なく世界はずーっとこんな感じなんだろう。さっきの子どもとお母さんが楽しそうに歩いていた。私も昔はこんなに楽しそうにしていたのだろうか。ずっとずっとわからなかった。どうしてあの男の人も女の人も、なれなれしく私の名を呼ぶのだろう。苦しい。つながりが苦しい。なにもかも消えてしまえばいいのに。私なんか生まれてこなかったら良かったのに。どうして。どうして。生きるのがつらい。生きているのがつらい。。。。キーンコーンカーンコーン、どこかでチャイムの音が聞こえる。以外に近い。すーっと私が私に戻ってきた。またいつものように考え込んでしまっていたようだ。こういうときに、私の中で話している人は誰なんだろう。今日も学校をさぼってしまった。正しくは、学校には来てるけど、授業をさぼったという方がいいかな。誰もいなくなってから帰ろう。歩いている人はありみたいだな。いろんな方向に向かって歩いてる。なんのために歩いているのかな。どこにむかっているのかな。みんなには何が見えているのかな。そろそろ中に入ろう。誰にも見つからないように。でもまだ家に帰りたくないな。体が冷たい。涙があったかい。
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