2nd December

 ハッシャバイ ベイビィ

 ハッシャバイ レイディ


 オンザ トゥリー トップ

 オンザ スリー トップ


 ウェンザ ウィンド ブロウズ

 ウェンザ ウインドウ クローズ


 ザ クレイドル ウィル ロック

 ザ クレイドル ティル ロック


 ウェンザ バゥ ブレイクス

 ウェンザ ボゥス ブレイクス


 ザ クレイドル ウィル フォール

 ザ クレイドル イル フォール


 ダウン ウィル カム ベイビー

 ダーン イル カム レイディ


 クレイドル

 クレイドル

 

 アンド オール

 エンド オール


 ……。




♠︎♤♠︎♤♠︎♤♠︎♤♠︎♤




 ねんねんころりよ おころりよ

 赤ちゃんの眠るゆりかごが木の上で揺れて

 

 並んだ焦げた影がみっつ

 その近くでは窓が開いて閉じてを繰り返している


 風が強く吹くとき ゆりかごは落ちて


 そのとき お互いは壊れて


 ゆりかごが落ちちゃうよ!


 病が忍び寄ってくるよ!


 赤ちゃんが落ちてしまう


 病とともに 終焉がやってくる


 ああ、ああ、おしまい

 全てのおしまい


 ああ、ああ、落ちる、落ちる



 風が吹くとき

 風が吹くとき


 ああ、ああ、子守唄の続きを忘れてしまったわ


 もういいんだよ、もう、十分だよ


 笑おう、わらおう、にこやかに


 死の丘を 兵士は進む レディは進む——





「コリャー確かに狂ってる」


 ラビはひとつ、ため息をつきその光景を再度見やる。

 童謡 [Hush a bye, Baby] の世界にピュアの壊した時計のかけらが刺さってしまったらしい。


 バタンと窓が閉まるたびに空の色が変化する。


 灰色の空 青い空 灰色 青色


 木の上のゆりかご

 空の上のゆりかご


 落ちる赤ちゃんと

 落ちるアトミックボム


 くるくると歌に合わせて歪む世界に頭痛がしそうだ。


「おっと、見つけた」


 そう呟いて、風に刺さった時計のかけらを引っこ抜く。


「オッケー、まぁこれでThe be all and end all...だな」


 景色が一転して、辺りには子守唄と静かな風が吹き抜けていった。

 もうバタンバタンと閉まる窓はそこにはない。


 残るは穏やかな歌声と、風のささやきのみ。


「何時何分、何十秒……こりゃいつまでかかるかなぁ」


 一人誰ともなしにそう呟きながら、ラビは時計のかけらを手元の青いフラミンゴの首にかけた郵便袋へと放り込んだ。






※マザーグースのHash-a-bye, Babyとそれをもじってみました。

 少しだけ、絵本の [When the wind blows] を連想させるものも。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る