間話 「アキナ---オーガ---メルサ---ウィル」
アキナ視点-----
私は村を飛び出した
別に村の人達が嫌いだった訳じゃない
大好きな家族に会えなくなるのも辛かった
私が村を飛びだした理由
怖かった
新しい風習とやらで村のお姉さん達が洞窟に連れていかれ出てきた時の絶望に満ちた顔が
だから村を飛び出した
しかし、外の世界はゴブリンの私にとって厳しかった
他の生き物は私を見つけると問答無用で襲いかかってくる
私は逃げた
逃げて、逃げて、逃げて
森を抜けるとだだっ広い草原地帯に出た
初めての景色
世界は大きいんだと感動したが同時に
開けた土地に出ると逃げ場は無くなった
私はここでは恰好の獲物であった
自分が小さ過ぎる存在なのだと悟った
助かったのは運が良かった
私は懸命にもがいていたが体力の限界は近かったが
通りすがりの魔物?が人間の服の裾を引っ張り何か言うと人間は手から風を起こし
周りに群がってた魔物達を一瞬でなぎはらった
私が何も出来ずうずくまっていた魔物たちを一瞬で
ゴブリンが森奥でひっそり暮らしている理由が分かった
彼らは家に招待してくれた
だだっ広い草原のなかにある土を固めたような家
寝床と他必要最低限しか無かった
不思議なことにあんだけいた魔物が一切近づかない
それもそのはず
隣に寝かされているのは私に似た種族
にもかかわらず、身体は数倍大きく
気配だけでも身の危険を感じる者だった
だが、旅の疲れは思っていたよりひどく
数日そこで寝てしまっていたらしい
起き上がると私を助けてくれた魔物の方がお世話をしてくれ
彼らの言語を教えてくれた
彼はテンというらしい
テンとは片言ながら色々な話をした
私の村の事、風習の事
彼の生い立ち、悲しい過去
彼自身も魔物から逃げて生きてきたらしく
同じような状況の私を放って置けなかったらしい
人間のウィルと私に似た種族オーガというらしいのオーグンは必要以上に私と話したりしなかった
しかし会うと 私を見る目がおかしい…
何を思えばあんな目が出来るのだろうか
オーグンに底知れぬ恐怖を感じていた
私はよそ者だから出ていかなきゃいけない
また、外の世界に出ていくのは怖かったが、自分で決めた道
明日にでもお礼をして出ていこう
そう、思っていたら意外にもオーグンとウィルが村まで送り届けると言い出した
複雑な心境だった
家族には会いたいが合わせる顔がない
帰ったところで咎められるかもしれない
嫌っていた風習もまだある
でも、外の世界で生きていくのは不可能なのは痛感した
ウィルがそんな私の心境を察してくれたのか
ただ、送り届けるだけじゃなくて風習について捜査しようと言ってくれた
ありがとうと言ったら
「謎解きは趣味だから」
と笑って返してくれた
オーグンに関しては私に関わらない理由がようやくわかった
私に発情してしまうらしい
オーガのような大きい種族が私のような小さな者に発情するのには疑問だったが
私ももう少しで成人
村でも色恋沙汰が無かったので悪い気はしなかった
あの目は性的な目だったのか…
オーグンの事はそこまで怖い人には思えなくなっていた
ただ、襲われたら死んでしまうだろう…
こうして4人で村に向かうことになった
行きはとてつもなく過酷な道のりだったが帰りは一切魔物が出てこない
大きな獣のような魔物に襲われた木を曲がり
明らかに毒を持った爬虫類のような魔物に襲われた岩の上を乗り越える
とても簡単だった
道中ウィルがちょくちょく抜けて色々と食べれるものを採集してきたり
オーグンが逆に魔物を狩ってきたり、夜は宴で騒いだり楽しいものだった
二回ほどオーグンが私を抱きしめようとしてウィルに止められ喧嘩になっていたがそれも日中の話の種だった
締め殺されたくないが
そうでないなら別に抱きしめられるくらい良いかなって思い始めた
そうこうしているうちに村にたどり着いた
「異様だね」
私も外から見るとありありと実感できた
苦しんでいるのは私だけじゃなかったんだ
だとしたら私がこの村を救うしかない
一度は飛びだしたがこの村の事は好きだから
オーグンと村へ潜入する
傷付いたオーグンに肩を貸して村へ入ると
オーグンの股間は膨らんでいた
私はビックリしつつもそうゆうふうに思われた事に
ほんの少しだけ女としての嬉しさがあった
膨らましているだけでなんかしようとはしてこない
入り口でパージに呼び止められた
彼はこの村一番の兵士だ
年中自己鍛練を欠かさず、
村を守る為に孤軍奮闘していた
私の一つ上の年でパートナーはおらず
おそらく洞窟の秘密については知らない
彼でさえオーグンの迫力にビビっていた
「家族が心配してる」
とだけパージは伝えた
私は申し訳なさと皆の為にこの村を以前のような普通の村に戻したい
そう思うようになっていた
そのまま村長の家へ向かった
私はどんな罰を与えられるのか怖かったがお咎めはされなかった
空き家を一軒貸し与えられた
村長は何か企んでそうだったが
今は調査が優先だ
ウィルとテンも森の中に待たせたままになっているし
ウィルに傷つけられたオーグンを空き家に寝かせ
村のお姉さん達に洞窟の中で何があったのか聞いて回った
しかし、誰一人として口を割らない
村を飛びだした私に対して怒りと憐れみと恨みの混じったような表情を向けると
大きい赤ちゃんが母の表情を察したのか泣き出し家に閉じこもってしまう
一緒に遊んであんなに優しかったお姉さん達がこんな事になってしまうなんて…
結局何にも成果が無かった
オーグンのいる空き家に帰ろうとしたが
パージの言葉を思い出した
「それにオーグンには実家に顔出すって言って出掛けたんだっけ…」
私は重い足取りのまま実家へ向かった
「た…ただいま…」
私がそう言って家の中に入ると
お父さんとお母さんが私を見て凍り付いた
パージとか村長はまだ私が帰ったってこと伝えていなかったんだ…
私はそのあとの反応が怖かった
悪いことをしたら叩いて叱っていたお父さんには殴られるかもしれない
お父さんに叱られた後、言葉で何が悪かったのか教えてくれたお母さんですら怒って私をひっぱたくかもしれない
出ていったのだからもううちの子じゃないと罵られるかもしれない
黙って消えていった私にはそれくらいされるだろう
そうなったらこの村の問題を解決してまた元通り暮らせるようになったらオーグンたちについていこう
覚悟が出来ているとはいえ怖かった
どれくらい時が経ったか分からない
私はずっとうつむいていた
両親の顔が見れなかった
「うっ うっ」
泣いているような声が聞こえ顔を上げると
お母さんが足をがくがく震わせながらその場にへたり込み嗚咽を上げながら
顔をくしゃくしゃに歪ねながら泣いていた
知的で凛としていたお母さんはそこにいなかった
お父さんも何とか威厳を保とうと私には顔を向けずそっぽを向いていたが
肩が嗚咽の声と同時に大きく上下していた
お母さんが生まれたての小鹿のように何とか立ち上がり私に近づき強く抱きしめた
「ごめんね… 私たちアキナの悩み聞いてあげられなかった
ごめんね… 私たちみたいな親で
ごめんね… アキナの異変に気付いていながら聞き出せなかった
本当にごめんね… 頼りない親で」
お父さんもその場でしゃがみこんでしまった
私は何が起こっているのか分からなかった
謝って、怒られて、泣くのは 私
何でお父さんとお母さんが泣いて 私に謝っているのか
強く抱きしめるお母さんにゆっくり手を回すとそれがようやくわかった
大きかったお母さんに手が回る
お母さんはお母さんの前に一人のゴブリンなんだと
そう分かると私も涙と嗚咽が止まらなくなった
「おかあさ…うっ…おとうさん…ごめんなさい
うっ…違うの…お父さんとお母さんのせいじゃないの…
うわあああああああああああ」
私はこんなにもお父さんとお母さんを追い込んでいたんだ…
私はすべて話した
出ていった理由と戻ってきた理由
新しい風習が出来てからの異変は感じていたが
洞窟に何があるのかも知らないという
両親の顔には不安が残っていたが
「何も言わずに出て行ってしまうよりはましだ」
と苦笑いをされた
こうして私の成すべきことは一つになった
空き家に帰ると
真っ赤に腫れた私の顔を見たオーグンはこの村を滅ぼさんとばかりの顔で出ていこうとした
少し恥ずかしかったがオーグンに両親の出来事を話した
オーグンはいつになく真面目な表情で聞いていた
あの騒がしかったオーグンが私の話にただ頷くだけだった
彼の真面目な顔を見ると私の鼓動がトクンと高鳴っていた
私は一日つかれて寝床に入った
オーグンに襲われてもいい
彼なら優しく扱ってくれるだろう
そう思いながら瞼を閉じた
朝起きて自分の身体を確認すると
特に何もされていなかった
普段のオーグンは彼なりのおふざけなんだと思った
起きると村長が助けたから洞窟の奴らを追い出してくれと言いだしてきた
一夜泊めたくらいで恩なんてさほどないだろうと思ったが
私もオーグンの傷が一日で無くなるとは思っていなかった
数日泊めて恩を売るつもりだったのだろう
村長の企みがこれだったんだ
まあ、ともあれトントン拍子で話が進んだ
風習とは洞窟に住み着いた何者かが原因で村長もその言いなりにされていたのだ
オーグンは止めたが私が彼らを巻き込んだんだから
私だけ安全な所で待っているのは出来なかった
しかし、私のせいでオーグンが境地に立たされた
洞窟に住み着いていたのは別のオーガだった
村一番の兵士のパージすらオーガの軽く当てつけのような一撃で即死した
捕まったのも境地に立たされたのも私の責任なんだから私が死ぬべき
こうゆう時の為にあらかじめ隠し持っていた小刀で自決しようとしたが
それすらもオーガに阻止された
強い者の前では自決すら出来ない
このオーガに私を殺させないとオーグンが何も出来ない…
早く私が死なないと
そう思っていても死ねない
オーガに罵声を浴びせてもこんな小物の言葉なんて気にも止めない
オーグンが毒を飲み干した
その場に倒れこむ
私は絶望した…
私が巻き込んだせいでオーグンが死んでしまう…
同族のオーガすら震えていたあの強いオーグンが
私のせいで…
このオーガのせいで…
私の事を大事にしてくれた優しいオーグンが
私はこのオーガに無意識に殺意を向けていた
しかし、それすらもあざ笑うかのように
むしろ心地いくらいに私を犯そうとしてきた
犯されるのは良い…
せめて行為の最中でもどこか隙があれば
このオーガを何とか殺さなくてはそれだけを考えていた
毒は…見当たるとこに無い
私の小刀はオーガが放り投げ壁に刺さっている
行為の最中少しずつ誘導すれば届くかもしれない
このオーガの皮膚には小刀でも傷がつく
でも、筋肉は切れないかもしれない
刺すなら鎖骨間だ
常に殺気を出してれば刺す時の殺気を誤魔化せるかもしれない
だが、私の願いは一瞬にして叶った
外で待機していたはずのウィルとテンが援軍に来てくれた
見知らぬ女の人がオーグンを助け
ウィルが弄ぶかのようにオーガを殺した
オーガが死ぬ光景は望んだこととはいえ何も感じなかった
死んだ瞬間はスカッとしたが後は不思議と無関心だった
別にこのオーガを殺すことは重要では無かったんだ
大事なのはオーグンだ
オーグンは女の人が魔法をかけ続け息を引き返した
良かった…
ありきたりだがそのような言葉でしか表現できなかった
同時に私は気付いた
私はオーグンが好きだ
こんな奴よりけた外れに強く優しく
私の100倍近く生きてる人が
こんなに弱い私一人のために死のうとしてくれた
オーグンに身体を許そう
痛いだろうけどオーグンは優しく扱ってくれると
だが、その決心もすぐ破かれた
新しく来たこの村の元凶なはずの悪魔にオーグンずっと鼻の下を伸ばしている
メルサもオーグンに怯えるでもなく軽くあしらっている
その行動がオーグンを掻き立てている
見ていて相応のカップルに思えた
私はオーグンの大きいところを蹴るしか出来なかった
そりゃ、私にはメルサのような胸も尻もないけどさ
オーグンはそんなの関係ないっていってくれると思っていた
私の決心バカみたい…
そう思いながら自分を戒めるようにひたすらに蹴った
オーガ------
昔、オーガの里にて
俺は過ちを起こした
違う、過ちではない
世の中不公平なんだ
だから俺は後悔していない
俺には幼馴染の女の子がいた
ずっと大好きだった
でも彼女には俺のことなんて眼中にない
いや、オーガの強さを求める本能なのだろうか
みんながオーグンの事を見ている
オーグンはそんな女の子からの熱烈な視線にうんざりしていた
なんと憎たらしい
身体が成熟するにつれ好きは性欲に変わっていった
オーグンはやりたいことをやると言って旅に出た
これで俺に少しは振り向いてくれるであろうと思った
でも彼女の心は俺には向かなかった
出ていったオーグンに向き続けている
だから犯した
せめてもの快感を得るために
溜まった好きと性欲を吐き出すために
あわよくば関係を気付くために
強くない俺には何も残っていなかった
彼女は犯したことを特に気にするでもなく
ただ、周りに言いふらした
俺の悪事が一瞬にして広まってしまったが
オーグンの出ていった後のごたごたで命はとられず外に出られた
旅の道中
ある女が声をかけてきた
オーガとは全く違いすらっとした身体
深くかぶった帽子
爬虫類なのかところどころにうろこのような皮膚
伝承に出てくるような種族では無かった
彼女は言った
「私とくればイイコトたくさんできるわよ」
彼女の目的は成人したゴブリンに種付けし子を生ませる
確かにイイコトだ
おまけに彼女ともやらせてくれるらしい
何でもこの世には種族に数えられない悪魔がいる
そして彼女らはそんなはぐれものに居場所を求めるために戦っているのだと
俺には何も理解できなかったが
誰にも見向きもされなかった俺が
彼女の助けになっている
それだけで少しうれしかった
何しろ衣食住と性を気にせず生きていかれる
それだけで俺は十分だった
種付けを始めて一年ほど経った頃だっただろうか
魔道具に傷だらけのオーグンと村から出ていった小娘のゴブリンが映った
俺の足は震えた
なんでオーグンがここにいるんだ
あの怪我はなんだ
オーグンにあんな傷は他のオーガが束になってもつけられねぇ
そして村長の村に呼ばれた
村長が裏切った?
メルサが居ねぇと何話しているか分からねぇ
あいつは感覚が良い
この魔道具は彼女ほどうまく使える奴はいない
彼女の感覚は
熱で相手の感情を感じ取り
耳は多くの周波数を聞き分ける
村長は俺らがただ脅しているだけ
オーグンに俺らを殺させるつもりなのか…?
クソ、俺じゃ判断できねぇ
ここを捨てて逃げるべきなのか
オーグンはここを狙っているのか?
オーグンの傷はもしかしてメルサとの戦闘の傷なのか?
いや、オーグンが女を傷付けるはずがねぇ
一方的にメルサがやったのならもうすぐ返ってくるのか?
オーグンほどの手誰が近くにいるのか?
メルサさえ居れば
あいつの頭脳があればオーグンを殺せるかもしれねぇのに
悪魔軍の緊急会議だと
いつ帰ってくるんだ
恐怖したとともにチャンスであった
思えば俺にとってオーグンはコンプレックスの源
弱っているオーグンをどんな手段を使ってでも殺せばいいんだ
でもどうやって?
弱っているとはいえ単純に戦っても負ける
毒殺?
いや、ダメだ毒はバレたら即戦闘になる
飯に混ぜようと
普段体内に入らない物質が体内に入るんだ
必ず拒絶反応が起こる
ガス化させても同じだ
直接皮膚からやるにしても戦闘前提だ
毒は身体が拒絶する
そもそも、気付かずにオーグンを即死させるほどの毒などない
不意打ち
遠距離
トラップ
どれも決定打に欠ける
一撃であのオーグンを戦闘不能にする術がない…
くそ…
迷っているうちに一日経ってしまった
もう逃げられない
腹をくくろう
とりあえず魔道具を見てみる
オーグンの傷は癒え村長の家に招かれている
確実に奴らはここへ来る
俺は何をすべきだ…
オーグンを殺す…
それさえできれば何でも良い
後はいくらでも立て直せる
無様だがこの方法が一番確実だ
メルサ------
私は何者なのだろうか
幼いときから私と同じような見た目の者は一人もいなかった。
物心ついたときには一人だった
だから嬉しかった
私を悪魔軍の幹部として受け入れてくれるのは
私の中にはどの種族の血が流れているのかすら分からない
今まで私に似た種族に会った事が無い
この世に唯一の存在
世間には悪魔と呼ばれる忌避される存在
しかし、王は言った
混血というのはお互いの種族の欠点を補って生まれてくる存在なんだと
物事の優劣はどうでも良かった
争いもあまり好まない
でも、私はここでしか生きられないそう思った
両親の影響なのか
私は性に関して無頓着だった
そこらの流浪の奴らと身体の関係を結んだ
世の中には「不干渉」という掟があってか
男は一瞬躊躇するも
発情すれば獣だった
ほとんどの獣は弱く行為が終わると私は彼らを食べた
性交はつまらぬものであった
つまらぬ故食欲で満たした
だが、強き者は特に一旦抱いた女を守りたい性があるのだろう
私は強きものを従えるために色んな男と関係を結んだ
子供は出来なかった
私の武器なんだと思った
そんな中はぐれオーガに出会った
私は彼を食べなかった
性交は気持ちの良いものではなかったが
彼を食べれる自信がなかった
オーガの強さは使えると思った
そんななか王の命により
私はこのオーがをつかい悪魔軍を増やす命を得た
オーガに知恵を与え
ゴブリンにオーガの子を生ませるのだ
おそらくこの辺境な地では気付かれることなどないだろう
だが、種付けさせても偶に生まれる程度だった
一年ほどたった時、軍の幹部の緊急招集用の鳥が飛んできた
「全く…パズズの馬鹿がやられただけで招集されるなんて困ったものだわ」
内容は私にはどうでもよい事だった
帰り際
私の感覚器官に誰かが映った
200mほど先
ゴブリンではない
何者かに私たちの実験場がバレた?
私はその者を殺すべく動いた
150m…100m…50m…10m
次第に近づき姿を見た瞬間止まった
そこには二人(一人と二匹)いたのだ
私は一人しか気づけなかった
一人は腰をぬかしているがもう一人は迎撃状態
私はこの人間について聞いていた
浮浪者のような服に整った顔立ち
この人間は議題にあったパズズを倒した奴らの片割れだ
一つ目の妖精を連れた人間ウィル
戦って勝てる相手ではない
私は大人しく降参した
ウィル視点------
得体の知れない何かが殺気をまき散らし急速に迫っている
テンは気付いていないのか
僕はテンに知らせるより先に迎撃の準備をした
その時と変わらず女の悪魔が出てきた
僕は直感的にこいつがここの黒幕なんだと確信した
しかし女は僕らの顔を見ると動きを止め
「降参いたします」
そういうと地面に跪いた
何を考えているのか分からないが
とりあえずこちらの身の安全の為に武器を取り上げ
尋問することにした
女は怪しいくらいに状況を話す
自分が悪魔軍の幹部であり
悪魔軍を増やすためオーガとゴブリンを使った実験のようなものをやっていて
宗教のようなのは統治術として悪魔の王から教わったのだと
聞いていて怪しいところなど無かった
テンも一緒にいたから嘘は通用しないと悟ったのだろうか
しかしまずいことになった…
オーグンたちがこの女が入ってくる少し前に洞窟に入っていった所だ
まだ出てこない
それに悪魔が他種族の混血なんて考えたこともなかったが
女の様子を見るに本当なのだろう
この事実をオーグンが聞いたらどう思うだろうか…?
今までだったら「そんなことは関係ねぇ」
とか言いそうだが最近は人とのつながりを大切にしているからな…
それに悪魔の王が統治術として宗教を使うのを教えているだと…?
色々と聞きたいことがあるが今は目の前のことが重要だ
向こうにもオーガがいるとのことだった
戦闘では負けないだろうが同じ種族なら万が一がある
いかんせんあいつは馬鹿だ…
「何を戸惑っているのかしら?すぐ加勢に行くべきよ」
この女に言われるのは不本意だがその通りだ
僕たちは洞窟に入ることにした
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