空間の窓3
突然、
多く塞ぎ、
目視させられる羽目になる。
都民達の声が各地で嫌悪感のある声が増え、
一斉に
「なんだ? なんで画面が宙に浮いて!?」
「店の前に出されたら邪魔になる!」
「交差点に出て信号が見えねえええ!」
地上1~50mの間に無数のディスプレイが
空中を占拠するように表示されてゆく。
道路の中央にも映しだされて交通事故も起こり、
聖夜は悪魔出現に備えて変装しながら見回りをしろと
散策していた。
「出ないな・・・」
主任が電話に応答しない。
まるでおちょくられているかのように消えては表れる
光の窓の連続は都民を混乱に
実は科警研の話の後にTV局に捜査令状を突き付けて
プロデューサーにガサ入れを行った。
しかし、男はACを所持しておらずに
家宅捜索しても疑いある結晶は発見できなかった。
そして自分は悪魔出現を予想して都心部を歩いても、
手も足もだせない状況の最中だ。
「このっ、くそっ!」
だが、ディスプレイは剣で斬る事は無理。
当たり判定や攻撃判定もないから、物理的対処ができずに
透ける長方形の枠に干渉はできなかった。
あまり人前で刃を見せると警官を呼ばれる羽目になり、
結局は発信元を抑えるしかなく、無計画なものの
自分から話し合いにいこうとTV局へ出向いた。
「あの、プロデューサーに会いたいんですけど?」
「どこの部署から? アポ、招待状などを持ってるかい?
ないなら入れないよ?」
当然のように断られる。
1月で番組出演経験があるからといっても、
関係者の許可なく入る事ができない。
やはり単独でどうにかできる問題ではなく、
社会の障壁に
結局、門前払いのみで進展の余地が取れずに
仕方なく撤退して街中を歩いていると。
「郷!?」
「おお、聖夜か!?」
茶髪の同期と鉢合わせした。
何かから逃げてきたような様子で、息を切らしつつ
何があったのかはともかく、こっちの事情を説明する。
「・・・ていう話だ」
「だから、こんな画面だらけになってんのか!?
マジで電脳世界に紛れ込んだと思っちまったぜ!」
言い方は
近未来世界に迷い込んだ風に感じる。
別にモニターの表示のみで実害には及んでいない。
だけど、これは2人だけの問題じゃない。
すでに事故も起きて都民の誰もが困っているから、
どちらにしても止めなければならないのだ。
「そこで俺に良いアイデアがある。
郷、ちょっとTV局に忍び込んでくれないか?」
「TV局だぁ!?」
郷をヒョウ型に変身させて内部潜入を試みようと思う。
建物高所の開いている窓からACらしき物を
探させようと頼む。
さっきも変身したばかりとか言ってるが、
構わずに行かせる。こいつは渋々引き受けて、
言う通りに局内を探索しにいく。
少しでも良い結果を望んで待ち続けた。
通信が途絶えた。
多分、見つかって捕まったか逃亡したに違いない。
無計画であんな入り組んだエリアに行くのは無鉄砲か。
頭の悪い2人が大人の組織に挑もうなんて事が
そもそも間違っていた。
若者一人身、いや二人身でも社会の入り口に向かえず。
もはやここまでか。
マナ、厘香、カロリーナも不在で当てにできる者は・・・
いた。
4人の警官が
何故か自分のすぐ真後ろにいたのだ。
「お巡りさん!?」
「聖夜君だね?
後は我々にやらせてもらおうか」
「君はいつも活躍している。
たまには目立たぬモブ警官に任せなさい!」
発言が珍妙なのはともかく、4列の機関は
偶然、巡回していたところに自分を見かけて
気付かれないようついてきたらしい。
“きっと何かが起こる”と、プロの勘のような何かで
自分がいつも悪魔討伐や事態解決してきたから、
判断したのだろう。
さすがに今回だけは人の界隈に干渉できない。
代わって4人の警察が突進してTV局に乗り込み、
アポも取らずに捜査令状で彼のいる部署に押し入った。
「フシューッ、フシューッ、もっと、モットミルンダ。
コウコク、チュウモク、シーエムテイコク」
小道具保管室でひっそりと独り言をしていた
目標は何も気付かずに能力を発動し続けている。
裏から来た警官達にあっさりと取り押さえられた。
「オアアオッ!」
相手は言うまでもなく御手洗三郎プロデューサーだった。
一度は逮捕されていたものの、
当人は保釈金を払ってとっとと外に出ていたのだ。
男はなんと、片目の表面にACを仕込んでいた。
あわやコンタクトレンズの様に利用してごまかしてきたが、
瞬間的対応で差し押さえた
隠される前に目標を奪取する事に成功。
彼が所有していたのはウレキサイト。
所持していたのはテレビ石、機器を介さずに映す
力によって至る所でディスプレイを放出していた。
理由はもちろん視聴率目的で立場保持のためなど、
再び同じ事を繰り返していた。
「またお前か!?」
「結果けっかケッカ、数字すうじスウジ!」
鼻水を出して世間の指示を具現化した単語を発する。
何をそこまでして視聴率に執着しているのか、
もう容赦はできないと威圧をかけ、白状を迫った。
「やはり、奇怪な結晶で世間を惑わせていたのだな。
誰からもらった!?」
「道で拾ったんだ!
何か光っていたから・・・それで――」
「そんな言い訳、何度も通用するか!?
以前、没収した物が同じく落ちていたなど
有り得ないだろう!?」
「ぐぬぬっ、ふんはっ!
た、確かに的を得ているが、連続的奇遇も
「都庁を占領した組織と繋がりがあるはずだ!
貴様は確実に都庁を占拠した者と接触している!
リビアングラスも!?」
「藤和君の石は知らない、本当だ!
私が
警察署内へ連行。
取調室にてプロデューサーは全てを自白。
今までに行ってきた真意を供述した。
ある日、自室に一通が送られてきて戦慄を覚えた。
過去の番組で行った枕営業を世間に公表されたくなければ、
結晶を有権者に浸透させるよう仕向けろと命令された。
怯えた彼は言う通りに従い、自分ならではの表現技法と
ウレキサイトを受け取って組織の指示の通りに
内の1人、英津玄米を狙って実験の一部に
指示に従って細かく砕いたアクアマリンを
コップに仕込んだという。
結晶の効果までは詳しく理解できていなかったが、
言われた通りに従うしかなかった。
「そして、また指示書が送られてきたんだ。
バラされたくなかったら以上の通りにしろと」
「相手は誰だ!?」
「オリファルコンとかいう名だ、それしか知らないぃ!
自室に置いてあった紙の内容通りに私は・・・
言われたようにやっただけだぁ」
この組織名は正確な表現ではないとすぐに気付く。
プロデューサーも直に会っていないので、
カットアウトを通じて動かされてきた。
過去のやらかしを材料に、心の隙間を
映像のわずか1フレームの中にオリハルコンオーダーズの
ワードを表示させたサブリミナル効果を放送して
賛同者を集めようとしたのである。
まるで薬物蔓延のような抑えが利かない動機。
自身が放送に執着する所以を明かした。
「しかし、好調はいつまでも続かなかった。
2000年からこの業界は規制が重くのしかかり、
晃京封鎖から視聴率の低迷が続いて。
隙を突いてそれらしい表現をしても、
すぐにクレームの
人権、倫理の塊のプレッシャーで一方的に・・・。
仕方なかったんだ、生活水準を下げたくなくて」
「・・・・・・」
「局内での騒動は確かに私の独断だ。
だけど、これだけは言える。
私と同じように宝石を受け取った民間人は
業界関係なく、まだ他にもいるだろう」
プロデューサーの言葉は刑事に眉をひそめさせる。
私欲を促す凝結を
賛同者、手先で動かせるために。
その内で捕えられた三郎は氷山の一角にすぎない。
オリハルコンオーダーズの魔の手はすでに
多数の民間にも伸び始めていた。
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