Capítulo3  azul sellado

「人は自由を奪われると負の思念を蓄積する。

 事情は各々のケースによるものの、

 外側に出られぬものは全て内側に収束。

 苦痛の行き場は形無き浸蝕願望へと変わる。

 即ち呪いである」

「命を削る行為は直接的な傷害のみに限らず。

 死の瞬間、人の視界と意識は黒に染まり、

 恣意しい的な怨念の矛先を向ける猶予もない。

 だが、時と明確な二人称が成り立つ上でならば

 よどみは覆いつくす様に溜まる。

 生かさず殺さずに与えた不自由は蓄積してゆく」

「思う故に因縁有り。

 人の住む地に限り、思惑の蓄積も増加。

 また、生存の限り悠々ゆうゆうと継続すれば

 待つのは言いようのなき生への恨塊と化すだろう。

 死を約束されようものなら、より強大なものへ」


――――――――――――――――――――――――

「君はもう10歳になったんだっけ?」

「うん、きのう王位補佐をあたえられた」

「そうなんだ・・・親族の脇だけはしっかりと。

 やっぱり、男の人達は大変ね」

「え?」

「資源安定で異動が始まるってお父様が言ってた。

 こうやって一緒に遊べるのもいつまでか・・・」

「だから、僕が、できることなら小さなことから

 あなたがここに来てくれたのも・・・その。

 せっかく遊びに来てくれたから・・・これを」

「これは?」

「僕が作ったネックレスだよ、かけてみて」

「わあ、すごく綺麗!

 青い宝石がこんなにたくさん」

「え~と、これは、イイナズケとしてのおくりもので、

 ぼくがみとめた人の・・・それで」

「うふふ、もう将来の事まで考えてるんだね。

 子どもながらも、王族としての方針かしら?」

「そ、そうだけど・・・あの」

「お姉さん歓心しちゃった。

 でも、まだ私達の方が認められていないわ。

 両国がお互い安定するまで、もう少し」

「・・・・・・」

「私は待っている。

 資源枯渇による情勢不安はそんなに長くは続かない。

 だから、君が後もう少し大きくなったら迎えにきてね」











「隣国王女との婚約は破棄する!

 相手より、是国との協定は無効と通達」

「どういう事だ?

 彼女の意思で決めたのか!?」

「今国は現在、供給が減少している。

 需要安定期に入るまで併合は認めないとの事」

「どこの掲示だ!?

 作物、生活品は何も異常は起きていないはずだ!

 父も、そんな報告は聞いていない!」

「先程入った事項だ。

 資源管理部を監査した大臣の報告だぞ?」

如何いかなる理由があろうと、併合してみせる!

 私は迎えに行くと誓ったんだ!」

「と、いう事にしてもらわないとこっちの都合がな。

 お前がいる限り、俺の立場がいつまで経っても

 変わらないんだよ」

「グムゥ!?」


「お前のゆく先はかたどった小さな塊だ。

 傲慢ごうまんな王こそ、

 主張を気取った装飾に相応しいんだよ」

「連れていけ!」

「これは報復だ。

 お前の親父は俺の国からあらゆる物資を奪い去った。

 軍を遠征させ、原価の素を掘りつくし、

 一家離散に追いやったお前達の国に対する仕打ちをな」

「ゴモォ、ブルググ」

「俺としては、もう何の意味もない玉だけどな。

 だから、一緒に入れておいてやるよ。

 お前達が奪った好きな青と共にな」

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