第34話 灼熱の霊鉱1
2012年3月3日
「学生に
「弁解の余地はありません」
科警研の主任室で勘当的展開が行われていた。
マーガレットは増尾に説教を受けている。
ホストクラブ殺人事件でカロリーナが聖夜に
ホスト役をさせて犯人を待ち伏せする行為などを
許してしまった事に注意を下す。
「事件解決へ導かせたのは称賛に値するが、
日本で囮捜査は禁止しているのは承知のはず。
世間に知られたら懲罰ものだ」
「ですが、結果として星の発見に
アメリカでも、大きな功績を上げています。
行動力のない者はルアーで捕まえるのも1つの手だと」
「だが、ここは日本だ。
向こうと異なり、パフォーマンス的逮捕劇は許されない。
職権を誤れば倫理法人会も黙っていないぞ?」
元はカロリーナの思い付きから始まった策ながらも、
短期間で星は発見できた。
しかし、日本は誘発目的は悪手とされて禁止。
自由にさせていた自分も多少の無茶と思い、
ここは下がる態度を見せた。
「私も少々若者に任せすぎたようです。
もう二度と同様の手は講じません」
「まあ、それは不問にしておく。
想定できない事件を想定しうる特殊工作班による
君の先制に傾倒し、今回は私が処理しよう。
魔術分野としての働きぶりはまだあるようだから」
「はい」
「よって、君にしかできない処理の任務だ。
新たな問題が地下鉄で発生している。
今度は都心部より真下、晃京駅だ」
「晃京地下ですか?」
警視総監は一般組織が介入できない問題を任せる。
数時間前、地下鉄の一角から高熱が発生し始めた。
そこで謎の温度上昇が現れ、駅のシステムが停止。
人という人が立ち退く事を余儀なくされていた。
原因はまだ判明していないものの、どうにか復旧しに
すぐ現地へ捜索しに行くはずだった。
しかし、熱源を処理するための組織を向かわせる事が
できないと言う。
問題なのは小回りの利く警察だけでなく、
自衛隊側にも特殊な障害が立ちはだかっていたのだが。
話は警察と自衛隊の以下の話による。
「警察や自衛隊が介入できない区域だと?
一体どういう
一室で警察官僚数人と防衛省数人が向き合う。
事前連絡内容に誰もが納得していない事故発生で、
現場で実働部隊が動けずに不評を漂わせる。
押し問答寸前の雰囲気の中で正倉院大臣が立ち会った。
「今回は私の経験から述べさせてもらいます。
さらに、地質学者から得た情報を根拠に発表いたします。
こちらをご覧下さい」
関係者達が壁に映されたドキュメントに注視する。
正倉院蓮が過去のデータからもたらされたのは
高熱を発する未知の鉱石の類があるのではと推測した。
もちろん、自然から湧きだしたにしては不自然。
閲覧する者達にどよめきが起こる。
それが何故、警察も自衛隊も
理由は防衛省より上の者が差し止めしていたからだ。
「外国製の銃弾が残されていた事より、進路状況から、
20年前に起きたテロリスト侵攻事件による、
何者かが仕向けた可能性が表れました。
地形状況から未知なる残存勢力の潜伏を懸念し、
対応すべく早急に現場へ向かう予定でした。
しかし、掘削は中止しろと命令を受けました。
決めたのは我々ではありません、内閣からの通達です」
「総理が?」
組織名を聞いた者達は意外な指令系統に目を開かせる。
テロリストによる仕業の可能性があると
どういう訳か知的財産法がさらに大きく関与すると言い、
地下資源について国を揺るがす程の問題があると述べた。
「テロリストが地下に?」
「ええ、かつて彼らが目指した方向と一致した区画には
重要資源が発掘されているとの事。
地下は地上と異なり、希少価値のある特殊な
鉱石が生成されるケースもあります。
過去の侵攻で地下に何かを仕掛けた恐れがあります」
「・・・と
「恐らくは未発見の鉱石の可能性もある。
我々を阻害させるべき要素としてですが、
海外による脅威ならば防衛出動の権限にあたり、
からして内閣に対応を要請する必要があると」
蓮はテロリストの侵入ルートの1つに地下鉄付近を挙げる。
高熱発生理由は悪魔の力を利用していると推測し、
この件はすぐさま内閣に要請し、さらに上からの指示で
地下施設のクリアリング、透明化を迫った。
しかし、返ってきた答えはNo。
政府最上層は地下への出動を命じずに、
“自分達の組織”だけで対応すると述べ、
警察も自衛隊も現地への介入許可は出なかった。
「という話だ、警察も自衛隊も関わるなという。
正倉院大臣も内閣によって隊を動かすなと止められ、
詳細を問いだしても国土交通上での重要区画が
国、内閣において貴重要素があるため、介入するなと」
「要素とは何の事でしょうか?
母国で学んだ時からも晃京地下にある物なんて
ほとんど知らされておりませんけど?」
「何かが起きた場合、神聖視するように一角を封鎖する
手口は大抵“糧”的な資源を守る事もあるらしいが。
なんともデタラメな理屈だ」
「話の
内閣が構成したチームで地下を管理するなんて、
第2皇位所でも建築するのでしょうか?
地下に何があるのですか?」
「そこが理解できないんだ。
話によると、第2次世界大戦で掘削されたエリアから
サブウェイエリアよりさらに下部に位置する
通路が存在するらしい。
駅員から聞いた話でも、駅と違って整備されてなく
洞窟の様な場所という報告のみ。
どういう根拠か、一般はおろか我々も不用意に
立ち入る事を許されていない」
「まるで世界自然遺産の湖ですね。
その発表したという地質学者は誰でしょうか?」
「不明だ、外国人学者の線もあるが、
防衛大臣も当人との接触は禁止だと言われた。
国土交通省の関与もあるらしく、彼も分からないだろう」
「独自のポリティカルリンクを造られている節を感じます。
アメリカのOGGと同じ秘密基地のように。
これならあなた方の部も打ち止めですわ」
世界には政府でもおいそれと入れない場所はある。
晃京の地下とは意外だが、神聖視の類など科学の前では
解明するためにあるようなもの。
ここではACという半ば非科学的な存在もあるが。
そこで、警視総監自らここに来た理由が下となる。
「陸将も防衛大臣もうかつに手が出せない。
街を守る側として、またメンツもかかっている。
あまり大きな声で言いたくないが・・・
我々が介入できない概要をその他に任せられる者へ」
「大人ができなければ若者に、ふふっ。
結局、彼らに委ねたのは大変良い判断だと思います」
「いいか? あくまでも極秘事項だ。
私としても正義の理念を失わずに真実を求め、
混沌の産物を出さないよう常に努める。
我々の及ばぬ理不尽を君達に・・・任せたい」
「
駅員人事への対応をそちらでお願いします」
自分は警視総監の依頼を丁重に了承。
名誉
者達を事態解決に導かせる。
ネズミの如く侵入役は例に挙げるまでもなく、
聖夜とカロリーナに晃京駅の調査へ向かわせた。
「「暑い・・・」」
「ていうか熱くね?」
晃京地下鉄から次々と人々が這い出てくる。
まるで
温度計も36℃と表示して真夏の暑さが地下から溢れ、
天地がひっくり返された環境と変わる。
誰もが半袖シャツを見せながら入口から歩いてきて、
一番迷惑をこうむっただろう駅員もどうすれば良いか迷い、
関係者も異常発生と察知してすぐに全ての列車を停止。
駅長も中には居られずに階段付近の地上に上がって
職員の安否と利用者の安全確保の確認を行っていた。
「各地方へのアクセス、全停止完了。
運行も全て中止するよう連絡を終えました」
「ターミナル、列車保管も終わりました。
こちらも被害者は出ておりません」
「うむ、後は上からの対策を仰ぐ」
気付いたのはほんの6時間前。
下層のラインが異様に暑くなったのが分かり、
火傷になりそうな感じで多くの人が訴え始めていた。
職員達が少しだけ調べたものの、労働場所にはまったく
火の元らしき物が発見できずに暖房の類などではなく、
ヒーターが故障した報告もない。
だからとはいえ、火の元すら発見できずに
どこから原因が出ているのは分かりようがなかった。
最近の晃京から常識外れな事件ばかり起こり、
ただでさえ関わりを避けたいところをここでも起きて
責任のプレッシャーが囲われるように押される。
ただ、熱くなったという現象だけで悪魔の姿もなく、
大事にならないよう願うしかない。
後は政府が解決するのを待ち続けていた時、
奇妙なスーツを着た者が1人やってきた。
「駅長の方ですね? 政府より参じた者ですが」
「待ちかねてました、ところでどこの所属でしょうか?」
「内閣です、地下駅は国土交通省より重要区画で
警戒態勢が発令されて原因調査より
「な、ないかくが!?」
内閣、交通省のワードを聞いた途端に動揺する。
事前連絡もなくやってきた男に不審を抱くものの、
身分証明書を見せられて本物と判断した。
しかし、1人だけというのも妙で厚いスーツだけ
着ているものの、解決する専門家には見えない。
何をしに来たのか聞くと、熱源の調査だと言う。
「なるほど、あなたが関係者の。
ところで、今回の原因は何が起きたのか判明は?」
「まずは特区への調査です、熱発生エリアの付近が
国にとって重要となる資源が存在するため、
特例を受けて確認しに行きます」
「あの・・・例の」
場所は地下駅よりさらに下部にあるというエリア。
自分も資源というワードは初めて耳にして、
何があるのは知らされていない。
何故、そんな所から熱が発生しているのか。
さらに、どうして内閣が直接査察しにきたのか
自分を含めた部下すら理解できない。
権限が上を位置取りする立場で詳細は寸止め。
駅長は息を飲み、男の供述にそのまま従う。
そこは駅員すら立ち入りを許されていない区画があった。
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