『操られぬ人形』

居倉首領

操り人形

今日も改札を通過する。

時刻は21時を過ぎた頃。


帰宅して軽く体を清掃し、メンテナンスをしてやる。

栄養補給の為に胃にモノを詰め、脳の疲労物質を除去する作業に徹する。

気づけば時刻は6時頃。


彼は疲れていた、今日も糸は彼を休ませない。今日こそ休まねば体を壊すという日にも、糸は素知らぬ顔して社会に送り出す。いざ体を壊せば、休まなかった彼のせい、糸は素知らぬ顔して彼を叱責する。


彼は憤っていた、早く帰りたい心を糸は無視する。今日こそ言わねば変われないのに、糸は素知らぬ顔で口を閉じる。いざ不利益が生じれば、変わらなかった彼のせい、糸は素知らぬ顔して彼を批評する。


…いっそ糸を切ってしまおうか?

不意にそんな考えが頭をよぎる。

その瞬間、糸が一本、プツンと切れた。

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